The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 28, 2000 Vol. 343 No. 26

慢性閉塞性肺疾患の肺機能の低下に対するトリアムシノロンの吸入の効果
Effect of Inhaled Triamcinolone on the Decline in Pulmonary Function in Chronic Obstructive Pulmonary Disease

THE LUNG HEALTH STUDY RESEARCH GROUP

背景

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,進行性の肺機能の低下の帰結として発症し,気道の炎症の結果であろうと考えられている.われわれは,この肺機能の低下を,コルチコステロイドの吸入による抗炎症療法によって遅らせることができるという仮説を立てた.

方 法

 10 センターで実施したトリアムシノロンアセトニドの 600 μ g 用量を 1 日 2 回連日投与するプラセボ対照無作為比較試験に,一秒量(FEV1)が予測標準値の 30 ~ 90%であった COPD の患者 1,116 例を組み入れた.主要転帰の評価尺度は,気管支拡張薬を投与した後の FEV1 の低下率とした.副次的転帰の評価尺度には,呼吸器症状,医療サービスの利用,および気道の反応性などを含めた.また,412 例が参加した部分患者集団試験において,開始時および治療開始後 1 年目と 3 年目に,腰椎と大腿骨の骨密度を測定した.

結 果

 追跡調査の平均期間は 40 ヵ月間であった.気管支拡張薬を投与した後の FEV1 の低下率は,トリアムシノロン群に参加した 559 例の患者とプラセボ群に参加した 557 例の患者で同程度であった(平均[± SE ],44.2 ± 2.9 対 47.0 ± 3.0 mL /年,p = 0.50).トリアムシノロン群の患者では,本試験の試験期間を通して呼吸器症状の発現が少なく(21.1 / 100 人-年 対 28.2 / 100 人-年,p = 0.005),呼吸器疾患のために受診する回数も少なかった(1.2 / 100 人-年 対 2.1 / 100 人-年,p = 0.03).さらに,トリアムシノロンの治療を受けていた患者は,治療開始後 9 ヵ月目および 33 ヵ月目に実施したメタコリンによる誘発に対する気道の反応性も低かった(どちらの時点の比較においても p = 0.02).治療開始後 3 年目における腰椎(p = 0.007)および大腿骨(p < 0.001)の骨密度は,トリアムシノロン群が有意に低値であった.

結 論

 CODP 患者におけるトリアムシノロンの吸入は,肺機能の低下を遅らせることはできないものの,気道の反応性と呼吸器症状を改善するとともに,呼吸器系の医学的問題による医療サービスの利用を減少させる.これらの有益性は,トリアムシノロンの骨密度に対する長期的な有害作用の可能性と比較してその重要性を考慮すべきであろう.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 1902 - 9. )