The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 3, 2000 Vol. 343 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

出血性消化性潰瘍の内視鏡的治療後の再出血に対するオメプラゾールの静脈内投与の効果
Effect of Intravenous Omeprazole on Recurrent Bleeding after Endoscopic Treatment of Bleeding Peptic Ulcers

J.Y.W. LAU AND OTHERS

背景

出血性消化性潰瘍の内視鏡的治療では,治療後に,患者の 15~20%に出血が再発している.

方 法

今回,われわれは,出血性消化性潰瘍の内視鏡的治療後に再出血が発生する頻度を,プロトンポンプ阻害薬(PPI)の高用量投与によって低下させられるかどうかについての評価を行った.活動性の出血性潰瘍または非出血性の露出血管を伴う潰瘍の患者を対象として,熱凝固法を伴ったエピネフリンの単回注射の治療を行った.これらの患者は,止血に成功してから,二重盲検法によるオメプラゾール(80 mg をボーラス静脈注射によって単回投与し,続いて 8 mg/時の速度で 72 時間点滴する)またはプラセボの投与に無作為に割り付けた.この点滴が終了した後は,すべての患者に対して,1 日 20 mg 用量のオメプラゾールを 8 週間経口投与した.主要エンドポイントは内視鏡的治療から 30 日目までの再出血とした.

結 果

本試験には,各群 120 例づつ,240 例の患者が組み入れられた.30 日目までに再出血が発生した患者は,オメプラゾール群では 8 例(6.7%)であったのに対して,プラセボ群では 27 例(22.5%)であった(ハザード比,3.9;95%信頼区間,1.7~9.0).再出血のエピソードのほとんどは,内視鏡的治療から 3 日目までの点滴期間中に発生していた(オメプラゾール群では 5 例,プラセボ群では 24 例,p<0.001).手術を受けた患者は,オメプラゾール群では 3 例,プラセボ群では 9 例であった(p=0.14).内視鏡的治療から 30 日目までに死亡した患者は,オメプラゾール群では 5 例(4.2%),プラセボ群では 12 例(10%)であった(p=0.13).

結 論

出血性消化性潰瘍の内視鏡的治療後にオメプラゾールの高用量注射を行うことによって,その後の再出血のリスクが大幅に低下する.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 343 : 310 - 6. )