September 7, 2000 Vol. 343 No. 10
動脈管開存症の動脈管閉鎖に対するイブプロフェンとインドメタシンとの比較
A Comparison of Ibuprofen and Indomethacin for Closure of Patent Ductus Arteriosus
B.VAN OVERMEIRE AND OTHERS
インドメタシンは,早産児の動脈管開存症の治療法として従来用いられてきた.しかし,その投与に関連してさまざまな副作用が発現する.そこでわれわれは前向き試験を実施して,早産児の動脈管開存症の早期治療におけるイブプロフェンとインドメタシンの有効性と安全性を比較した.
呼吸窮迫症候群を有し,動脈管開存症であることが心エコー法で確認された新生児 148 例(在胎期間,24~32 週間)について検討した.これらの新生児は,五つの新生児集中治療センターにおいて,インドメタシン(0.2 mg/kg 体重を 12 時間間隔で投与)またはイブプロフェン(初回 10 mg/kg ,その後 5 mg/kg を 24 時間間隔で 2 回投与)を,生後 3 日目から開始して 3 回静脈内投与する治療に無作為に割り付けられた.動脈管の閉鎖率,追加治療の必要性,副作用,合併症,児の臨床経過を記録した.
血管の閉鎖率は二つの治療で同程度であった:すなわち,動脈管閉鎖が生じたのは,インドメタシンの投与を受けた 74 例中の 49 例(66%),イブプロフェンの投与を受けた 74 例中の 52 例(70%)であった(相対リスク,0.94;95%信頼区間,0.76~1.17;p = 0.41).第 2 選択の薬物治療を要した児や,外科的な血管結紮を要した児の数に 2 群間で有意差は認められなかった.イブプロフェンの投与を受けた 5 例と,インドメタシンの投与を受けた 14 例に乏尿が発現した(p = 0.03).これ以外の副作用や合併症に有意差は認められなかった.
呼吸窮迫症候群が現れている早産児の動脈管開存症に対する治療として,生後 3 日目から即座に開始するイブプロフェン療法は,インドメタシンと同程度の有効性があり,しかも乏尿を誘発させる可能性が有意に低い.