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January 7, 2016 Vol. 374 No. 1

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ギニアにおけるエボラウイルス病に対する回復期血漿輸血の評価
Evaluation of Convalescent Plasma for Ebola Virus Disease in Guinea

J. van Griensven and Others

背景

アフリカの数ヵ国における近年のエボラウイルス病(EVD)集団発生を受けて,世界保健機関は,EVD から回復した患者の回復期血漿を用いた治療の評価を優先課題とした.われわれはギニアにおいて,EVD 治療に用いる回復期血漿の安全性および有効性を評価した.

方 法

非無作為化比較試験において,EVD が確定したさまざまな年齢の患者 99 例(妊娠女性を含む)に,ABO 血液型適合回復期血漿 200~250 mL の輸血を 2 回連続して行った.各血漿単位は異なる回復期ドナーから採取したものであった.輸血は診断された日,もしくは診断から 2 日以内に開始した.血漿中のエボラウイルスに対する中和抗体価は輸血の時点では不明であった.同施設で過去 5 ヵ月間に治療を受けた 418 例を対照群とした.主要評価項目は,年齢とベースラインのポリメラーゼ連鎖反応法で蛍光シグナルが閾値に達するのに必要なサイクル数(Ct 値)で補正した,診断から 3~16 日後の死亡リスクとした.診断の 3 日後より前に死亡した患者は除外した.回復期血漿群の死亡率が対照群と比較して絶対値で 20 パーセントポイント低いことを臨床的に重要な差とした.

結 果

血漿を輸血した 84 例を主要解析の対象とした.ベースラインでは,回復期血漿群のほうが対照群よりも Ct 値がわずかに高く,罹病期間が短く,眼充血および嚥下困難の頻度が高かった.診断から 3~16 日後の死亡リスクは回復期血漿群 31%,対照群 38%であった(リスク差 -7 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -18~4).この差は年齢および Ct 値で補正すると減少した(補正リスク差 -3 パーセントポイント,95% CI -13~8).回復期血漿の使用に関連する重篤な有害反応は認められなかった.

結 論

EVD 確定患者 84 例に対し,中和抗体価不明の回復期血漿を最大 500 mL 輸血しても,生存に有意な改善はみられなかった.(欧州連合ホライズン 2020 研究・イノベーションプログラムほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02342171)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 33 - 42. )