March 28, 2019 Vol. 380 No. 13
転移性乳癌におけるフルベストラントとアナストロゾールの併用による全生存
Overall Survival with Fulvestrant plus Anastrozole in Metastatic Breast Cancer
R.S. Mehta and Others
われわれは以前に,ホルモン受容体陽性の転移性乳癌を有する閉経後患者を,一次治療としてアロマターゼ阻害薬のアナストロゾールと選択的エストロゲン受容体ダウンレギュレーターのフルベストラントを併用投与する群とアナストロゾールのみを投与する群に無作為に割り付け,併用群で無増悪生存期間が延長し,全生存期間が境界線上の有意差で延長したことを報告した.今回は最終の生存転帰を報告する.
患者を,アナストロゾール投与群とフルベストラント+アナストロゾール投与群に無作為に割り付けた.無作為化は,術後のタモキシフェン使用の有無で層別化した.生存解析は,両側層別化 log-rank 検定と Cox 回帰を用いて行った.有効性と安全性の比較を対象全体とサブグループ別の両方で行った.
無作為化された 707 例のうち,694 例のデータが解析に利用可能であった.併用療法群では 349 例中 247 例(71%)が死亡し,全生存期間の中央値は 49.8 ヵ月であったのに対し,アナストロゾール単独群では 345 例中 261 例(76%)が死亡し,全生存期間の中央値は 42.0 ヵ月で,有意差が認められた(死亡のハザード比 0.82,95%信頼区間 [CI] 0.69~0.98,log-rank 検定により P=0.03).2 つの層のサブグループ解析では,タモキシフェン投与歴がない女性での全生存期間は,併用療法群のほうがアナストロゾール単独群よりも長かったが(中央値はそれぞれ 52.2 ヵ月と 40.3 ヵ月,ハザード比 0.73,95% CI 0.58~0.92),タモキシフェン投与歴がある女性での全生存期間は 2 群で同程度であった(中央値はそれぞれ 48.2 ヵ月と 43.5 ヵ月,ハザード比 0.97,95% CI 0.74~1.27)(相互作用の P=0.09).グレード 3~5 の長期毒性の発現率は 2 群で同程度であった.アナストロゾール単独群の約 45%がフルベストラント投与にクロスオーバーした.
アナストロゾール単独群では増悪後のフルベストラントへのクロスオーバーが多数あったものの,アナストロゾールへのフルベストラントの追加は,アナストロゾール単独と比較して長期生存の改善と関連した.今回の結果は,術後補助内分泌療法への曝露歴がない患者において利益がとくに顕著であることを示唆している.(米国国立がん研究所,アストラゼネカ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00075764)