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January 17, 2019 Vol. 380 No. 3

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三日熱マラリア原虫マラリアの再発予防のためのタフェノキンとプリマキンとの比較
Tafenoquine versus Primaquine to Prevent Relapse of Plasmodium vivax Malaria

A. Llanos-Cuentas and Others

背景

三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)マラリアの治療薬であるタフェノキン(tafenoquine)の単回投与は,三日熱マラリア原虫血症と休眠体を消失(「根治治療」)させて,再発予防に関連することが示されている.

方 法

タフェノキンとプリマキンとで安全性と有効性を比較する第 3 相前向き二重盲検ダブルダミー無作為化比較試験を行った.試験は,ペルー,ブラジル,コロンビア,ベトナム,タイの病院または診療所 7 施設で,グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)活性が正常値であった患者と中等度 G6PD 欠損症の女性患者を対象として行った.全例で三日熱マラリア原虫血症が確認されていた.患者を,タフェノキン 300 mg を単回投与する群と,プリマキン 15 mg を 1 日 1 回 14 日間投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.全例にクロロキンの 3 日間投与を 1 コース行い,180 日間追跡した.主要安全性評価項目は,プロトコールで規定したヘモグロビン値の低下(ベースラインから>3.0 g/dL もしくは≧30%の低下,または<6.0 g/dL への低下)とした.本試験と,タフェノキンとプリマキンを検討した別の第 3 相試験で計画された患者レベルのメタ解析(per-protocol 集団)の主要有効性評価項目は,6 ヵ月の時点で三日熱マラリア原虫血症が再発していないこととし,再発のオッズ比 1.45(タフェノキン 対 プリマキン)を非劣性マージンとした.

結 果

プロトコールで規定したヘモグロビン値の低下は,タフェノキン群では 166 例中 4 例(2.4%,95%信頼区間 [CI] 0.9~6.0),プリマキン群では 85 例中 1 例(1.2%,95% CI 0.2~6.4)に認められ,群間差は 1.2 パーセントポイント(95% CI -4.2~5.0)であった.患者レベルのメタ解析では,6 ヵ月の時点における無再発患者の割合は,タフェノキン群 426 例のうち 67.0%(95% CI 61.0~72.3),プリマキン群 214 例のうち 72.8%(95% CI 65.6~78.8)であった.タフェノキンの有効性に,プリマキンに対する非劣性は示されなかった(再発のオッズ比 1.81,95% CI 0.82~3.96).

結 論

G6PD 活性が正常値の患者では,タフェノキンによるヘモグロビン値の低下はプリマキンによるヘモグロビン値の低下と有意差は認められなかった.タフェノキンは三日熱マラリア原虫マラリアの根治治療における有効性を示したが,プリマキンに対する非劣性は示さなかった.(グラクソ・スミスクライン社,メディシンズ・フォー・マラリア・ベンチャーから研究助成を受けた.GATHER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02216123)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 229 - 41. )