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December 19, 2019 Vol. 381 No. 25

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卵巣癌に対する一次化学療法との併用療法および維持療法としてのベリパリブ
Veliparib with First-Line Chemotherapy and as Maintenance Therapy in Ovarian Cancer

R.L. Coleman and Others

背景

高悪性度漿液性卵巣癌患者に対する初回治療として,ベリパリブ(veliparib)などのポリ(アデノシン二リン酸 [ADP] リボース)ポリメラーゼ阻害薬を化学療法と併用し,その後維持療法として使用した場合のデータは限られている.

方 法

国際共同第 3 相プラセボ対照試験で,未治療の III 期または IV 期の高悪性度漿液性卵巣癌患者を対象に,ベリパリブを一次治療のカルボプラチンとパクリタキセルによる導入化学療法に追加し,単剤維持療法として継続した場合の有効性を評価した.患者を,プラセボ併用化学療法後にプラセボによる維持療法を受ける群(対照群),ベリパリブ併用化学療法後にプラセボによる維持療法を受ける群(ベリパリブ併用単独群),ベリパリブ併用化学療法後にベリパリブによる維持療法を受ける群(ベリパリブ継続群)に,1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.腫瘍減量手術は,試験治療の開始前または 3 サイクル完了後に施行可能とした.併用化学療法は 6 サイクル,維持療法はさらに 30 サイクルとした.主要評価項目は,試験担当医師が対照群と比較して評価したベリパリブ継続群の無増悪生存期間とし,BRCA 変異コホート,相同組換え修復異常(HRD)を有するコホート(BRCA 変異コホートを含む),intention-to-treat 集団で逐次的に解析した.

結 果

1,140 例が無作為化された.無増悪生存期間の中央値は,BRCA 変異コホートではベリパリブ継続群 34.7 ヵ月,対照群 22.0 ヵ月であり(増悪または死亡のハザード比 0.44,95%信頼区間 [CI] 0.28~0.68,P<0.001),HRD コホートではそれぞれ 31.9 ヵ月と 20.5 ヵ月( ハザード比 0.57,95% CI 0.43~0.76,P<0.001),intention-to-treat集団では 23.5 ヵ月と 17.3 ヵ月であった(ハザード比 0.68,95% CI 0.56~0.83,P<0.001).ベリパリブは,化学療法と併用した場合に貧血と血小板減少の発現率が高くなり,全体では悪心と疲労の発現率が高くなった.

結 論

試験集団全体において,カルボプラチン,パクリタキセル,ベリパリブによる導入療法後にベリパリブによる維持療法を行うレジメンにより,カルボプラチンとパクリタキセルによる導入療法のみを行った場合と比較して,無増悪生存期間が有意に延長した.ベリパリブを維持療法には使用せず,導入療法に追加することの独立した有益性は,明確ではなかった.(アッヴィ社から研究助成を受けた.VELIA/GOG-3005 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02470585)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2403 - 15. )