December 26, 2019 Vol. 381 No. 26
転移性前立腺癌に対するカバジタキセルとアビラテロンまたはエンザルタミドとの比較
Cabazitaxel versus Abiraterone or Enzalutamide in Metastatic Prostate Cancer
R. de Wit and Others
転移性去勢抵抗性前立腺癌で,ドセタキセルによる治療歴があり,アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬(アビラテロンまたはエンザルタミド)の投与下で 12 ヵ月以内に進行が認められた患者において,投与を受けていないほうの阻害薬(アビラテロンまたはエンザルタミド)と比較したカバジタキセルの有効性と安全性は明らかにされていない.
ドセタキセルとアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬(アビラテロンまたはエンザルタミド)による治療歴がある患者を,カバジタキセル(25 mg/m2 体表面積)の 3 週ごとの静脈内投与+プレドニゾンの連日投与と顆粒球コロニー刺激因子の投与を受ける群と,もう一方のアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬(アビラテロンの場合は 1,000 mg+プレドニゾン,エンザルタミドの場合は 160 mg)の連日投与を受ける群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,画像診断に基づく無増悪生存期間とした.副次的評価項目として生存期間,治療効果,安全性を評価した.
255 例が無作為化された.追跡期間中央値 9.2 ヵ月の時点で,画像診断に基づく進行または死亡は,カバジタキセル群では 129 例中 95 例(73.6%)で報告されたのに対し,アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬群では 126 例中 101 例(80.2%)で報告された(ハザード比 0.54,95%信頼区間 [CI] 0.40~0.73,P<0.001).画像診断に基づく無増悪生存期間の中央値は,カバジタキセル群で 8.0 ヵ月,アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬群で 3.7 ヵ月であった.全生存期間の中央値は,カバジタキセル群で 13.6 ヵ月,アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬群で 11.0 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.64,95% CI 0.46~0.89,P=0.008).無増悪生存期間の中央値は,カバジタキセル群で 4.4 ヵ月,アンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬群で 2.7 ヵ月であり(進行または死亡のハザード比 0.52,95% CI 0.40~0.68,P<0.001),前立腺特異抗原奏効はそれぞれ 35.7%と 13.5%に認められ(P<0.001),腫瘍縮小効果は 36.5%と 11.5%に認められた(P=0.004).グレード 3 以上の有害事象は,カバジタキセルの投与を受けた患者の 56.3%とアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬の投与を受けた患者の 52.4%に発現した.新たな安全性シグナルは認められなかった.
ドセタキセルとアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬(アビラテロンまたはエンザルタミド)による治療歴がある転移性去勢抵抗性前立腺癌患者において,カバジタキセルは,もう一方のアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬(アビラテロンまたはエンザルタミド)と比較して,複数の臨床転帰を有意に改善した.(サノフィ社から研究助成を受けた.CARD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02485691)