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July 25, 2019 Vol. 381 No. 4

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生殖細胞系列 BRCA 変異陽性転移性膵癌に対するオラパリブ維持療法
Maintenance Olaparib for Germline BRCA-Mutated Metastatic Pancreatic Cancer

T. Golan and Others

背景

生殖細胞系列の BRCA1 または BRCA2 に変異を有する患者は,転移性膵癌患者の小さなサブグループを形成している.ポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬であるオラパリブは,この集団で抗腫瘍活性を有することが示されている.

方 法

生殖細胞系列の BRCA1 または BRCA2 に変異を有する転移性膵癌の患者で,一次治療の白金製剤ベースの化学療法中に疾患が進行しなかった例を対象に,維持療法としてのオラパリブの有効性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照第 3 相試験を行った.患者を,維持療法としてオラパリブ錠の投与(300 mg を 1 日 2 回)を受ける群とプラセボ群の投与を受ける群に,3:2 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とし,盲検下での独立した中央判定により評価した.

結 果

スクリーニングを受けた 3,315 例のうち,154 例が無作為化され,試験介入に割り付けられた(オラパリブ群 92 例,プラセボ群 62 例).無増悪生存期間の中央値は,オラパリブ群のほうがプラセボ群よりも有意に長かった(7.4 ヵ月 対 3.8 ヵ月,病勢進行または死亡のハザード比 0.53,95%信頼区間 [CI] 0.35~0.82,P=0.004).データの成熟度が 46%の時点で行われた全生存期間の中間解析では,オラパリブ群とプラセボ群のあいだで差は認められなかった(中央値 18.9 ヵ月 対 18.1 ヵ月,死亡のハザード比 0.91,95% CI 0.56~1.46,P=0.68).欧州がん研究治療機関(EORTC)QOL 質問票に基づく総合 QOL スコア(100 点の尺度で,スコアが高いほど QOL が良好であることを示す)のベースラインからの全体的な変化(群間差 -2.47 点,95% CI -7.27~2.33)が示すように,健康関連 QOL に群間で有意差は認められなかった.グレード 3 以上の有害事象の発現率はオラパリブ群で 40%,プラセボ群で 23%であり(群間差 16 パーセントポイント,95% CI -0.02~31),それぞれ 5%と 2%が有害事象のために試験介入を中止した.

結 論

生殖細胞系列の BRCA に変異を有する転移性膵癌患者のうち,維持療法としてオラパリブの投与を受けた群のほうが,プラセボの投与を受けた群よりも無増悪生存期間が長かった.(AstraZeneca 社ほかから研究助成を受けた.POLO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02184195)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 317 - 27. )