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November 27, 2025 Vol. 393 No. 21

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デング熱の予防薬としてのモスノデンビルの連日投与のコントロール下ヒト感染モデルでの検討
Daily Mosnodenvir as Dengue Prophylaxis in a Controlled Human Infection Model

A.P. Durbin and Others

背景

世界人口の約半数に,デング熱のリスクがある.抗ウイルス薬による予防法や,治療選択肢は存在しない.

方 法

第 2a 相二重盲検無作為化試験で,健康な成人を,モスノデンビル(mosnodenvir)を低用量(負荷用量 40 mg,維持用量 10 mg),中用量(負荷用量 200 mg,維持用量 50 mg),高用量(負荷用量 600 mg,維持用量 200 mg)のいずれかで 1 日 1 回経口投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に割り付けた.負荷用量は 5 日間投与し,維持用量は 21 日間投与した.コントロール下ヒト感染モデルには,維持用量の初回投与日(1 日目)に,弱毒化が不十分なデングウイルス血清型 3(DENV-3)株(rDEN3Δ30)の皮下接種を行った.主要有効性評価項目は DENV-3 RNA 量とし,1 日目(接種直前)から 29 日目までの濃度–時間曲線下面積(AUCD1–29)の log10 として評価した.主要評価項目の解析では,高用量群とプラセボ群とを比較した.安全性,薬物動態学的特徴,ウイルス学的特徴,血清学的特徴を 85 日目まで評価した.

結 果

DENV-3 感染の徴候がなかった参加者の割合は,モスノデンビルの低用量群 0%(6 人中 0 人),中用量群 17%(6 人中 1 人),高用量群 60%(10 人中 6 人)であったのに対し,プラセボ群では 0%(7 人中 0 人)であった.モスノデンビルの高用量群では,log10 AUCD1–29 として評価した DENV-3 RNA 量が,プラセボ群よりも有意に低かった(トービット分散分析による両側の P<0.001).この小規模試験では,モスノデンビルによる重篤な有害事象は発現しなかった.モスノデンビルの血漿中濃度は,-5 日目から 1 日目にかけて上昇し,21 日目まで維持された.NS4B の塩基配列データが得られた参加者では,rDEN3Δ30 ゲノムの NS4B 領域における新たなアミノ酸変異が,モスノデンビルの投与を受けた 14 人中 14 人で検出され,プラセボの投与を受けた 7 人では検出されなかった.

結 論

コントロール下ヒト感染モデルでは,モスノデンビルの高用量での連日経口投与により,プラセボと比較して,DENV-3 RNA 量が有意に低くなった.モスノデンビルによる重篤な有害事象は発現しなかった.(米国国立アレルギー・感染症研究所,ジョンソン・エンド・ジョンソン社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05048875)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2107 - 18. )