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December 4, 2025 Vol. 393 No. 22
特発性正常圧水頭症に対するシャント術の無作為化試験
A Randomized Trial of Shunting for Idiopathic Normal-Pressure Hydrocephalus
M.G. Luciano and Others
特発性正常圧水頭症は,高齢者における,歩行障害,平衡障害,認知障害,尿失禁を特徴とする神経疾患である.シャント術により治療されるが,その有効性は明らかにされていない.
脳脊髄液(CSF)ドレナージによる歩行速度の改善に基づいてシャント術が選択された参加者を対象に,二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.参加者を,非侵襲的に圧調節可能なシャントバルブを開放の設定(開放圧 110 mmH2O)にする群と,プラセボの設定(開放圧 400 mmH2O 超)にする群に無作為に割り付けた.主要転帰は,歩行速度のベースラインから術後 3 ヵ月の時点までの変化量とした.副次的転帰は,3 ヵ月の時点でのティネッティスケールの総スコア(0~28 で,値が低いほど歩行障害と平衡障害が顕著であることを示す),モントリオール認知評価(MoCA)スコア(0~30 で,値が低いほど認知障害が顕著であることを示す),過活動膀胱質問票スコア(0~100 で,値が高いほど尿失禁が重度であることを示す)の変化量とした.
99 例が無作為化され,割り付けられた介入を受けた.3 ヵ月の時点で,歩行速度が開放シャント群では上昇し(平均 [±SD] 変化量 0.23±0.23 m/秒,49 例で評価),プラセボ群では変化せず(平均変化量 0.03±0.23 m/秒,49 例で評価),治療差は 0.21 m/秒(95%信頼区間 0.12~0.31,P<0.001)であった.開放シャント群では,プラセボ群と比較して,ティネッティスケールスコア(平均変化量 2.9 点 対 0.5 点)に有意に大きな改善が認められたが(P=0.003),MoCA スコア(1.3 点 対 0.3 点)と過活動膀胱質問票スコア(-3.3 点 対 -1.5 点)には認められなかった.有害事象に関する結果は混合しており,プラセボ群のほうが転倒を報告した参加者が多く(46% 対 24%),脳出血を報告した参加者の割合は両群で同程度であり(2%),開放シャント群のほうが,硬膜下出血が発現した参加者(12% 対 2%)と姿勢によって変化する頭痛が発現した参加者(59% 対 28%)が多かった.
特発性正常圧水頭症を有し,一時的な CSF ドレナージに反応した参加者において,シャント術により,3 ヵ月の時点で歩行速度と歩行・平衡感覚の指標に有意な改善が認められたが,認知機能の指標と尿失禁の指標には認められなかった.(米国国立神経疾患・脳卒中研究所,試験イノベーションネットワークから研究助成を受けた.PENS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05081128)







