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December 4, 2025 Vol. 393 No. 22

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C3 腎症および免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎に対するペグセタコプランの試験
Trial of Pegcetacoplan in C3 Glomerulopathy and Immune-Complex MPGN

F. Fakhouri and Others

背景

C3 腎症と一次性免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は,通常,糸球体に C3 が沈着し,不可逆的な腎障害をきたす.C3 腎症または一次性免疫複合体型 MPGN を有する人における,C3 および C3b 阻害薬ペグセタコプランの有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

C3 腎症または一次性免疫複合体型 MPGN の思春期児および成人を対象に,第 3 相二重盲検プラセボ対照試験を行った.対象には,生来の腎臓に疾患を有する患者と,移植後に疾患が再発した患者が含まれた.患者を,ペグセタコプランを投与する群とプラセボを投与する群に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,26 週の時点での尿蛋白/クレアチニン比の,ベースライン値に対する対数変換した比とした.

結 果

124 例が無作為化された.蛋白尿の変化(尿蛋白/クレアチニン比のベースライン値に対する対数変換した比で測定)は,ペグセタコプラン群のほうがプラセボ群よりも有意に大きかった(尿蛋白/クレアチニン比の幾何平均 -67.2% [95%信頼区間 {CI} -74.9~-57.2] 対 2.9% [95% CI -8.6~15.9]).この差は,プラセボ群と比較して 68.1%(95% CI 57.3~76.2)相対的に減少したことを表している.5 つの副次的評価項目の階層的検定では,ペグセタコプラン群は,プラセボ群よりも腎臓の複合評価項目の基準(推算糸球体濾過量 [eGFR] の安定化と尿蛋白/クレアチニン比の 50%以上の減少)を満たした患者の割合が有意に高く(49% 対 3%),蛋白/クレアチニン比が 50%以上減少した患者の割合も有意に高かった(60% 対 5%).腎生検検体を評価しえた 69 例における,C3 腎症組織学的指標の活動性スコアの変化には 2 群間で有意差は認められず,以降の評価項目(C3 染色の減少と eGFR の変化)の正式な検定は行わなかった.ペグセタコプランに関連する有害事象は,プラセボに関連する有害事象よりも多くはなかった.被包性細菌による重篤な感染症は発生しなかった.ペグセタコプランの投与を受けた 1 例が,新型コロナウイルス感染症肺炎により死亡した.同種移植片の拒絶・廃絶は起こらなかった.

結 論

C3 腎症または一次性免疫複合体型 MPGN の患者にペグセタコプランを投与した場合,プラセボを投与した場合よりも,蛋白尿の減少が有意に大きくなった.(アペリス ファーマシューティカルズ社とソビ [スウェディッシュ オーファン バイオビトラム] 社から研究助成を受けた.VALIANT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05067127)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2210 - 20. )