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December 18, 2025 Vol. 393 No. 24

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2 型糖尿病にチルゼパチドを投与した場合とデュラグルチドを投与した場合とでの心血管転帰の比較
Cardiovascular Outcomes with Tirzepatide versus Dulaglutide in Type 2 Diabetes

S.J. Nicholls and Others

背景

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体の,2 つのインクレチン作動薬であるチルゼパチドは,血糖コントロールと体重に良好な効果をもたらす.心血管転帰に対する効果は明らかにされていない.

方 法

実薬対照二重盲検非劣性試験を行い,2 型糖尿病とアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者を,週 1 回,チルゼパチド(最大 15 mg)を皮下投与する群と,デュラグルチド(1.5 mg)を皮下投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.デュラグルチドは,心血管イベントの発生率を低下させることが示されている薬剤である.主要評価項目は心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合とし,チルゼパチドのデュラグルチドに対する非劣性を検定した(非劣性マージンはハザード比の 95.3%信頼区間の上限 1.05).ハザード比の 95.3%信頼区間の上限が 1.00 を下回る場合に,チルゼパチドのデュラグルチドに対する優越性が示されることとした.

結 果

13,299 例が無作為化され,その後,選択基準を満たしていないことが判明した 134 例が除外された.修正 intention-to-treat 集団はチルゼパチド群 6,586 例,デュラグルチド群 6,579 例であった.平均(±SD)年齢は 64.1±8.8 歳で,29.0%が女性であり,体格指数(BMI,体重 [kg]/身長 [m]2)の平均は 32.6±5.5,糖化ヘモグロビン値の平均は 8.4±0.9%,糖尿病罹病期間の平均は 14.7±8.8 年であった.主要評価項目イベントは,チルゼパチド群では 801 例(12.2%)に発生し,デュラグルチド群では 862 例(13.1%)に発生した(ハザード比 0.92,95.3%信頼区間 0.83~1.01,非劣性の P=0.003,優越性の P=0.09).有害事象の発現率は 2 群で同程度と思われたが,消化器系有害事象はチルゼパチド群のほうが多かった.

結 論

2 型糖尿病とアテローム動脈硬化性心血管疾患を有する患者において,チルゼパチドは,心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,脳卒中の複合に関して,デュラグルチドに対して非劣性を示した.(イーライリリー社から研究助成を受けた.SURPASS-CVOT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04255433)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2025; 393 : 2409 - 20. )