The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

January 23, 2003
Vol. 348 No. 4

ORIGINAL ARTICLES

  • 環境からの鉛曝露と慢性腎機能不全の進行
    Environmental Lead Exposure and Progression of Chronic Renal Insufficiency

    環境からの鉛曝露と慢性腎機能不全の進行

    環境からの低濃度の鉛曝露は,加齢に伴う腎機能の低下と関連しているが,因果関係は明らかにされていない.この研究では,24 ヵ月の観察期間中,軽度から中等度の腎機能不全患者 202 例の腎機能,血中鉛濃度,体内の鉛量を測定した.その後,これらの患者のうち観察研究中に体内鉛量が軽度に増加した 64 例に,EDTA カルシウム 2 ナトリウムを用いたキレート療法またはプラセボ投与を 3 ヵ月間行い,その後 24 ヵ月間,必要に応じて反復キレート療法,またはプラセボ投与を行った.腎不全の進行は,キレート療法を受けた患者のほうが遅かった.
    環境からの低濃度の鉛曝露は,加齢に伴い認められる腎機能の低下になんらかの役割を果している可能性がある.キレート療法により,腎機能不全の進行を遅らせることができるかもしれない.

  • 血清レチノールと骨折リスク
    Serum Retinol and the Risk of Fracture

    ビタミン A の高摂取は,骨脆弱性の増大と相関しているが,生物学的マーカーが検討されたことはない.患者 2,322 例を組み入れたこの経時的コホート研究では,開始時に採取した血液試料中の血清レチノールと β カロチンを測定し,30 年間追跡を行った.骨折は 266 例で発生した;血清レチノール濃度による骨折リスクを算出するために,Cox 回帰分析を用いた.リスクは,レチノール濃度が非常に高い男性で増加した.β カロチン濃度は,骨折リスクとは関連していなかった.
    これらのデータは,現在の食品ビタミン A 補給量を再評価する必要があるかもしれないことを示唆している.

  • 肥大型心筋症における左室流出路閉塞
    Left Ventricular Outflow Tract Obstruction in Hypertrophic Cardiomyopathy

    肥大した心室中隔による左室流出閉塞の影響については議論がある.肥大型心筋症の患者におけるこの大規模研究は,最低 30 mmHg の安静時の流出路圧較差が,心血管に起因する重篤な心不全への進行や死亡のリスクの増加を予測した.
    著者らは,データの治療への関与については慎重である.個々の患者における流出路閉塞を減らすかどうかを決定するのには,症状のレベル,閉塞の度合い,および筋切除や中隔切除といった治療に伴う潜在的リスクを考慮に入れた臨床上の判断が必要である.

  • 子癇予防のための硫酸マグネシウムとニモジピンの比較
    Comparison of Magnesium Sulfate and Nimodipine for the Prevention of Eclampsia

    この無作為非盲検多施設共同試験では,重症子癇前症の女性における痙攣発作を予防するうえで,硫酸マグネシウムが,脳血管拡張薬であるニモジピンよりも効果が高いことが明らかとなった.痙攣発作のリスクは,ニモジピン投与群が硫酸マグネシウム投与群の 3 倍高かった.
    これらの結果は,重症子癇前症の女性で子癇を予防するための標準療法として,硫酸マグネシウムを使用することを促している.

BRIEF REPORT

  • 異所性黄体形成ホルモン分泌と無排卵
    Ectopic Luteinizing Hormone Secretion and Anovulation

    この“Brief Report”の患者は,不妊症検査中に黄体形成ホルモン濃度の顕著な増加が確認され,その評価のために紹介されてきた 40 歳の女性である.検査により,神経内分泌系の膵腫瘍から黄体形成ホルモンが異所性に分泌されていることが明らかになった.腫瘍を摘出すると,黄体形成ホルモン濃度が正常化し,排卵が回復した.
    黄体形成ホルモン濃度がきわめて高い女性では,副腎または膵臓の腫瘍の可能性を考慮すべきである.

MEDICAL PROGRESS

  • 分娩・出産のための局所麻酔と無痛法
    Regional Anesthesia and Analgesia for Labor and Delivery

    分娩・出産のための局所麻酔と無痛法

    無痛分娩・出産法の母親と胎児に対する影響は,患者,麻酔科医,産科医療職が関心を抱いている問題である.米国ではおよそ 60%の女性が,分娩時に硬膜外麻酔または脊椎・硬膜外麻酔の併用を選択している.この“Medical Progress”では,普通分娩および帝王切開による分娩中の局所無痛法と麻酔に関して,最近の考察,リスク,利益について概説している.

CLINICAL IMPLICATIONS OF BASIC RESEARCH

  • WASP ファミリー
    A Family of WASPs

    単一の X 連鎖遺伝子 WASP の突然変異は,T 細胞および B 細胞の免疫不全疾患である Wiskott-Aldrich 症候群の症状を引き起す.この突然変異は,アクチン細胞骨格を制御する蛋白質ファミリーの一員である Wiskott-Aldrich 症候群蛋白質(WASP)の機能を失わせる.これらの蛋白質なしでは,細胞は形状を保つことも,動くこともできない.最近,特定の微生物が WASP ファミリーの一員を使って宿主細胞に接着することを示す根拠が示されている.

SOUNDING BOARD

  • マッチングは違法か?
    Is the Match Illegal?

    卒後医学教育認定評議会(Accreditation Council for Graduate Medical Education)といくつかの教育病院を相手取り,「マッチング」(国立レジデントマッチングプログラム:National Resident Matching Program)が反トラスト法に違反していると主張する集団訴訟が起された.著者は,マッチングが自由市場を妨げ,レジデントの給料を下げていると主張しているが,反トラスト法は通常の商取引にのみ適用されることを示唆している過去の法廷の裁定を考慮すると,勝訴しないかもしれない.