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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 6, 2004
Vol. 350 No. 19

ORIGINAL ARTICLE

  • 頭頸部の高リスク扁平上皮癌に対する術後の放射線療法と化学療法の同時併用
    Postoperative Concurrent Radiotherapy and Chemotherapy for High-Risk Squamous-Cell Carcinoma of the Head and Neck

    頭頸部の高リスク扁平上皮癌の術後治療に関するこの無作為試験において,放射線療法と化学療法(シスプラチン)を同時併用すると,放射線単独療法よりも局所と領域の再発率が低下し,無病生存が延長した.併用療法は,放射線単独療法よりも毒性がかなり強かった.
    この論文および Bernier らの論文(1945 ページ)は,シスプラチンを併用する放射線療法が,局所進行頭頸部癌に対する術後補助療法として有望なことを示している.

  • 局所進行頭頸部癌に対する術後の放射線療法と化学療法
    Postoperative Radiotherapy and Chemotherapy for Locally Advanced Head and Neck Cancer

    局所進行頭頸部癌の補助療法に関するこの無作為試験では,根治を目的とした手術後に行う,放射線単独療法と放射線療法+シスプラチンの同時併用療法とを比較した.無進行生存と全生存は,併用療法群でより優れていた.
    この論文と関連する Cooper らの論文(1937 ページ)は,シスプラチンを併用する放射線療法が,局所進行頭頸部癌に対する有望な術後補助療法であることを示している.

  • 拡張期心不全の病態生理
    Pathophysiology of Diastolic Heart Failure

    血行力学に関するこの研究から,左室駆出率が正常な患者の心不全は拡張能の異常が原因であるという,説得力のある証拠が得られている.
    観察された能動的な弛緩と受動的なスティフネスの異常は,このような患者にみられる充満圧の上昇と心不全の症状を十分に説明するものであり,治療の標的を与えるものである.

  • ハーラー症候群における臍帯血移植
    Cord-Blood Transplantation in Hurler's Syndrome

    ハーラー症候群患児では,2 歳前に臍帯血移植を行うことで疾患の進行が止められ寿命が延びるが,多くの患児にはドナーがいない.この研究では,非血縁ドナーから臍帯血移植を受けたハーラー症候群患児 20 例中 17 例で,ドナー型の完全キメラ状態と正常な白血球 α-L-イズロニダーゼ値が認められたことを報告している.移植後,これらの患児の神経認知機能が改善し,身体的特徴が減少した.
    臍帯血移植は,ハーラー症候群の自然経過を有益な方向に変化させた.

CLINICAL PRACTICE

  • 陰部ヘルペス
    Genital Herpes

    22 歳の女性が,陰部病変で婦人科医を受診している.診察では,両側の陰唇ならびに子宮頸部の潰瘍と,鼠径部に軽い圧痛を伴うリンパ節腫脹が認められる.女性の知る限りでは,本人も,2 年間連れ添った夫を含むこれまでの 4 人の性的パートナーも,ヘルペスに感染したことはない.この女性をどのように管理すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 菌状息肉腫
    Mycosis Fungoides

    菌状息肉腫

    もっとも一般的な皮膚のリンパ腫は,非ホジキン型の末梢 T 細胞性リンパ腫,すなわち菌状息肉腫である.このリンパ腫における T 細胞の分子的・生物学的性質の理解の進歩――とりわけ T 細胞が皮膚へ帰巣する能力,活性化状態での機能,クローン優位の獲得について――は,最近の治療に多大な影響を与えている.この総説では,菌状息肉腫の治療に有効な生物学的作用物質,光線療法・放射線療法の技術,併用レジメンなど,ますます発展する治療態勢について述べている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 疑いの指標
    Index of Suspicion

    疑いの指標

    原発性膜性増殖性糸球体腎炎から末期の腎疾患をきたした 26 歳の女性が,39 ℃にのぼる発熱が 2 週間断続的に続いているため受診した.この女性は,11 ヵ月前に 2 度目の死体腎移植を受けていた.