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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

February 12, 2004
Vol. 350 No. 7

ORIGINAL ARTICLE

  • 急性呼吸困難の管理における B 型ナトリウム利尿ペプチドの利用
    Use of B-Type Natriuretic Peptide in the Management of Acute Dyspnea

    B 型ナトリウム利尿ペプチドは,血行力学的な過剰負荷に反応して心室から放出され,心不全患者では,心不全以外の原因で呼吸困難をきたした患者よりも血中濃度が高い.この研究では,急性呼吸困難の患者の診断に B 型ナトリウム利尿ペプチドを用いると,入院率,入院期間および治療費が減少することが示された.
    急性呼吸困難の患者の評価において,B 型ナトリウム利尿ペプチド濃度の測定を日常的に行うことを考慮すべきである.

  • ナトリウム利尿ペプチド濃度と心血管リスク
    Natriuretic Peptide Levels and Cardiovascular Risk

    B 型ナトリウム利尿ペプチドと心房性ナトリウム利尿ペプチドは,血行力学的ストレスに反応して心筋細胞から分泌される.フラミンガム心臓研究の集団において,ナトリウム利尿ペプチド濃度は,従来の心血管危険因子で補正したあとでも,心不全,初回心血管イベント,心房細動,脳卒中または一過性虚血発作のリスクを予測することが明らかになった.
    ナトリウム利尿ペプチド濃度は,臨床的に明らかな心血管疾患のない人でも,心血管リスクの有用なマーカーとなる可能性がある.

  • 2 型糖尿病患者の子供におけるミトコンドリア活性の低下
    Impaired Mitochondrial Activity in Offspring of Patients with Type 2 Diabetes

    インスリン抵抗性は,2 型糖尿病患者の子供の糖尿病発症をもっともよく予測する.この研究では,2 型糖尿病患者のインスリン抵抗性を示す子供とインスリン感受性の対照者で,肝臓および筋肉のインスリン感受性を検討した.インスリンに刺激された筋肉によるグルコースの取り込みは,インスリン抵抗性の子供では対照と比べて約 60%低く,筋細胞内脂質含有量の約 80%の増加と関連していた.筋細胞内脂質含有量の増加は,主にミトコンドリアの機能障害に起因すると考えられる.
    インスリン抵抗性を示す,2 型糖尿病患者の子供にみられる骨格筋のインスリン抵抗性は,筋細胞内の脂肪酸代謝調節不全に起因する可能性がある.

  • 循環血中の血管新生因子と子癇前症
    Circulating Angiogenic Factors and Preeclampsia

    このコホート内症例対照研究では,可溶性 fms 様チロシンキナーゼ 1(胎盤成長因子に結合する)濃度の上昇と胎盤成長因子濃度の低下――内皮機能障害と関連付けられる変化――により,後に子癇前症が発症することが予測された.
    より多くのデータが必要であるが,血管新生因子濃度の変化とその後発症する子癇前症のリスクのあいだに認められた関連性から,子癇前症の発症には,これらの因子が寄与している可能性が示唆される.

CLINICAL PRACTICE

  • 尿管結石
    Ureteral Stones

    尿管結石

    39 歳の男性が,右下腹部から陰茎の先端部にかけての疝痛が 8 時間続いていると報告している.男性には腎結石の既往があるが,腎結石は自然に排泄された.診察では,右肋骨脊柱角と右下腹部に圧痛が認められる.尿検査では,顕微鏡的血尿がみられる.また,らせんコンピュータ断層撮影では,右遠位尿管に 6 mm の結石と軽度の水腎症がみられる.この患者をどのように治療すべきであろうか?

MEDICAL PROGRESS

  • 糖尿病治療法としての膵島移植
    Islet Transplantation as a Treatment for Diabetes

    糖尿病治療法としての膵島移植

    1 型糖尿病患者がインスリン注射を必要とせずに生活できるようにする目的で,膵臓移植がますます多く行われるようになっているが,膵島移植のほうが侵襲性が低い可能性がある.この論文は,発展中の手技としての膵島細胞移植について述べている.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 不明瞭な発語と左片麻痺を呈する男性
    A Man with Slurred Speech and Left Hemiparesis

    57 歳の右利きの男性が,突然発語が不明瞭になり,左片麻痺を発症したため入院した.画像検査では,右中大脳動脈領域に梗塞が認められた.血栓溶解により血管の再疎通に成功したが,患者の状態は悪化し続 けた.
    この“Case Record”では,急性脳卒中の緊急検査と管理を再検討し,外科的介入の方法について論じている.

SOUNDING BOARD

  • 脊椎固定術 ― 事例の限定
    Spinal Fusion - The Case for Restraint

    米国では,脊椎固定術の実施件数が急速に増加している.こうした費用の高い複雑な手技のほとんどは,現在背痛や変性疾患に対して行われている.脊椎固定には長時間に及ぶ手術が必要であり,とくに高齢患者では合併症発生率の上昇と関連している.手術の効果は限られている可能性があり,疼痛の軽減は,解剖学的構造のほかにさまざまな要因の影響を受ける.この論文の著者らは,脊椎固定術の実施を控え,関連する有益性および適応をより明確に規定するために対照試験を行うことを主張している.