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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

May 19, 2005
Vol. 352 No. 20

ORIGINAL ARTICLE

  • シスタチン C,腎機能,死亡率
    Cystatin C, Renal Function, and Mortality

    シスタチン C,腎機能,死亡率

    シスタチン C は,糸球体で濾過されるシステインプロテアーゼインヒビターであり,腎機能の指標となる.高齢者を対象としたこの研究では,血清シスタチン C 値は,血清クレアチニン値よりも,死亡と心血管疾患のリスクの優れた予測因子であった.シスタチン C は,腎機能の代替となる指標であり,有用な予後予測手段でもある.

  • 平均的リスクの女性に対する 全大腸内視鏡スクリーニング
    Colonoscopic Screening for Average-Risk Women

    男性を対象にした結腸癌スクリーニングに関する先行研究により,全大腸内視鏡検査で確認された進行結腸腫瘍の 30%が,軟性 S 状結腸鏡検査では見落されたであろうことが示された.女性を対象としたこの並行研究では,軟性 S 状結腸鏡検査の検出率はさらに低く,全大腸内視鏡検査で確認された進行病変の 65%が,軟性 S 状結腸鏡検査では見落されていたであろうと考えられた.
    このデータから,女性の場合,軟性 S 状結腸鏡検査は,結腸癌のスクリーニング検査として,全大腸内視鏡検査よりもはるかに有効性が低いことが示唆される.

  • 乳児クラッベ病における臍帯血移植
    Transplantation of Cord Blood in Infantile Krabbe's Disease

    出生時または出生前に乳児クラッベ病と診断され,臍帯血移植を受けた無症状の新生児では,中枢ミエリン形成がすすみ,いくつかの発達能力が大幅に向上した.しかし,粗大運動機能と言語能力にはかなりの遅れが残った.
    これらのデータから,乳児クラッベ病の自然経過は,症状発現前に臍帯血移植を行えば好転することが示唆される.

  • 喘息と侵襲性肺炎球菌疾患
    Asthma and Invasive Pneumococcal Disease

    テネシー州で行われたこの症例対照研究では,2~49 歳の侵襲性肺炎球菌疾患患者 635 例と,年齢をマッチさせた対照者 6,350 例について評価を行った.侵襲性肺炎球菌疾患のリスクは,喘息患者では対照者の約 2 倍であり,高リスク喘息患者においては 3 倍以上であった.喘息は,侵襲性肺炎球菌疾患の独立した危険因子であると考えられる.これらのデータから,肺炎球菌ワクチンの適応に喘息を追加すべきであることが示唆される.

SPECIAL ARTICLE

  • 伝統的助産師と周産期死亡率および妊産婦死亡率
    Traditional Birth Attendants and Perinatal and Maternal Mortality

    このパキスタン農村部で行われたクラスター無作為試験では,伝統的助産師に訓練を行い,使い捨ての分娩キットを支給し,さらに産科医チームが出産前ケアを提供する出張診療所を設置した地域と,対照とした地域とで,周産期と妊産婦の転帰を比較した.介入を行った地域では,周産期死亡率が有意に低下した.
    伝統的助産師に訓練を行い,より高度な医療システムに組み入れるという介入は,パキスタン農村部の周産期死亡率の低下において,達成可能かつ効果的な方法であった.

CLINICAL PRACTICE

  • 過体重の小児と青年
    Overweight Children and Adolescents

    ある 7 歳の女児は,身長 130 cm(同年齢の女児の 90 パーセンタイル),体重 34.6 kg(95 パーセンタイルを超える)で,体格指数 20.5(95 パーセンタイルを超える)である.過体重以外に身体所見に異常は認められない.女児は日常的にファーストフードやソフトドリンクを摂取し,運動はあまりせず,1 日に何時間もテレビをみたりコンピュータに向ったりしている.どのようなアドバイスをすべきであろうか?

LEGAL ISSUES IN MEDICINE

  • 拷問,医療倫理,法律
    Torture, Medical Ethics, and the Law

    George Annas 氏は,戦時中の拷問に関する国際法と米国の法律,および米国最高裁判所の判決について概説している.同氏はアブグレイブ収容所とグアンタナモ基地の囚人に対する拷問において,医師が果す役割をめぐる論争についても考察しており,医師には拷問を予防し,報告する特別な責任があると主張している.

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL

  • 息切れ,浮腫,蛋白尿を呈する男性
    A Man with Shortness of Breath, Edema, and Proteinuria

    息切れ,浮腫,蛋白尿を呈する男性

    80 歳の男性が息切れのため入院した.男性には胸水と下肢浮腫がみられ,心房細動,数回のうっ血性心不全のエピソード,蛋白尿の増悪の既往があった.臨床検査では,ネフローゼ域の蛋白尿と IgG パラプロテインが認められた.診断検査を行った.