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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 6, 2005
Vol. 353 No. 14

ORIGINAL ARTICLE

  • 嚢胞性線維症における肺疾患の遺伝的修飾因子
    Genetic Modifiers of Lung Disease in Cystic Fibrosis

    ΔF508 に欠失変異を有する嚢胞性線維症患者では,疾患の重症度に大きな差がみられることはよく知られている.この研究では,より重度の疾患と関連する,TGFβ1 遺伝子をコードする DNA の変異体を同定し,第二の集団で再現して関連性を確認した.

  • 若年男性における正常な空腹時血漿グルコース濃度と 2 型糖尿病
    Normal Fasting Plasma Glucose Levels and Type 2 Diabetes in Young Men

    正常範囲内での空腹時血漿グルコース濃度の高値は,2 型糖尿病のリスクを独立して予測するであろうか? この研究から,空腹時血漿グルコース濃度が正常範囲の上限にある場合,糖尿病発生のリスクが段階的に増加することが明らかになった.空腹時血漿グルコース濃度は,BMI およびトリグリセリド値と併せて考慮すれば,一見健康にみえる糖尿病リスクの高い男性を同定するうえで役立つ可能性がある.

  • アラスカ産カキによる腸炎ビブリオ腸炎
    Vibrio parahaemolyticus Gastroenteritis from Alaskan Oysters

    観光船上で胃腸炎が集団発生し,アラスカ産生ガキの摂取後に V. parahaemolyticus による下痢を起した患者 62 例の同定にいたった.カキの産地は,これまでに集団発生の原因となった産地よりも 1,000 km 北であった.海水温の上昇が,この集団発生に寄与したと考えられる.

SPECIAL ARTICLE

  • 植込み型除細動器の費用対効果
    Cost-Effectiveness of Implantable Cardioverter-Defibrillators

    これまで 8 つの臨床試験において,左室収縮機能障害を有するが生命を脅かす心室性不整脈の既往はない患者における,植込み型除細動器(ICD)の有益性が評価されてきた.これらの試験における ICD の費用対効果が,上記試験データを組み込んだマルコフモデルを用いて検討された.ICD の予防的植込みには,質調整生存年の延長 1 年当り 10 万ドル未満の費用対効果比があると推定された.

CLINICAL PRACTICE

  • 神経性食欲不振症
    Anorexia Nervosa

    17 歳の少女が,心配した両親に連れられて主治医を受診している.これまで過体重であったことはなかったが,6 ヵ月前にベース体重の 59.1 kg から減量することを決意した.少女の身長は 1.7 m,体格指数は 21 で あった.食事制限と運動により 13.6 kg 減量し,月経は 4 ヵ月前から止っていた.現在の体格指数は 16 である.少女は何も問題はないといっており,両親や友人,教師たちが心配していることを迷惑に思っている.この少女をどのように評価し,治療すべきであろうか?

MECHANISMS OF DISEASE

  • 異常シャペロンと細胞ストレス,そして疾患
    Sick Chaperones, Cellular Stress, and Disease

    この総説では,分子シャペロンの構造と機能について,ミスフォールドした蛋白質を助ける役割に重点をおいて述べている.また,一部の疾患ではこのように蛋白質の世話をする蛋白質やそのパートナー分子の異常が見つかっており,そうした疾患についても論じている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • さらに原因を考える
    Still Consider the Source

    50 歳の男性が,3 週間にわたる発熱,悪寒,全身の脱力のために診療所を受診した.また男性は,右手と左肘に痛みと腫れがあり,体重が約 4.5 kg 減少し,ときどき上腹部に圧迫感があると訴えている.悪心,嘔吐,下痢,呼吸困難,排尿障害はなかった.

SOUNDING BOARD

  • メディケアと費用対効果分析
    Medicare and Cost-Effectiveness Analysis

    この論文で著者らは,メディケアの補償範囲に関する決定の費用対効果分析を行ううえで,障害となる要因について述べている.著者らは,政策立案者が,医療資源をより合理的に分配するために費用対効果分析を包括的な戦略に組み込むことで,メディケアが直面している差し迫った財政危機を回避できる可能性があると論じている.