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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

October 2, 2008
Vol. 359 No. 14

ORIGINAL ARTICLE

  • 治療歴を有する R5 HIV-1 感染患者に対するマラビロック投与
    Maraviroc for Previously Treated Patients with R5 HIV-1 Infection

    CCR5 補助受容体は,HIV 感染を抑制するための治療標的となる可能性がある.抗レトロウイルス薬による治療歴のある HIV-1 感染患者を,マラビロック(CCR5 拮抗薬)に関する 2 つの多国間二重盲検プラセボ対照第 3 相試験に登録した.マラビロック投与群では,48 週の時点で有意な HIV-1 ウイルス量の減少と CD4 細胞数の増加が認められた.

  • 治療歴を有する R5 HIV-1 感染患者に対するマラビロック投与に関するサブグループ解析
    Subgroup Analyses of Maraviroc in Previously Treated R5 HIV-1 Infection

    マラビロックと至適療法の比較試験 MOTIVATE 1 と MOTIVATE 2 の HIV 感染患者の主要サブグループにおいて,マラビロック投与患者では,プラセボ投与患者と比べて 48 週の時点で一貫した治療効果が示された.これらのサブグループには,ベースラインの CD4 細胞数が少ない患者,スクリーニング時の HIV ウイルス量が多い患者,基礎療法において活性抗レトロウイルス薬投与を受けていなかった患者が含まれている.マラビロックによる治療が失敗した患者では,治療失敗時に CXCR4 に結合しているウイルスが認められる頻度が高かった.

  • 加齢黄斑変性における Toll 様受容体 3 と地図状萎縮
    Toll-Like Receptor 3 and Geographic Atrophy in Age-Related Macular Degeneration

    Toll 様受容体 3(TLR3)の変異体は,地図状萎縮または「乾燥型」の加齢黄斑変性に対する防護作用があり,TLR3 リガンドに曝露した培養網膜色素上皮細胞のアポトーシスを減少させる.二本鎖 RNA が TLR3 のリガンドであるため,この研究の知見からウイルス感染が加齢黄斑変性の原因であるという仮説が立てられ,治療として行う短鎖干渉 RNA の眼内注射に懸念が生じる.

  • 1 型糖尿病に対する持続血糖モニタリングと積極的治療
    Continuous Glucose Monitoring and Intensive Treatment of Type 1 Diabetes

    この無作為化試験では,1 型糖尿病に対する積極的治療を受け,糖化ヘモグロビン値が 7.0~10.0%である患者を,事前に規定した 3 つの年齢群に分け,持続血糖モニタリング群と通常のモニタリング群に割り付けた.主要転帰は,26 週後の糖化ヘモグロビン値の変化とした.持続血糖モニタリングは,成人の 1 型糖尿病患者においては血糖コントロールの改善と関連を示したが,小児や青年患者では関連はみられなかった.

CLINICAL PRACTICE

  • 常染色体優性多発性嚢胞腎
    Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease

    35 歳の健常男性が,バスケットボールの試合中に脇腹を肘で突かれた直後に腹部疝痛を起こし,その後肉眼的血尿を呈した.腎臓の超音波検査により,両側性多発性嚢胞腎と肝嚢胞が明らかとなった.男性の血圧は 160/100 mmHg,血清クレアチニン値は 0.9 mg/dL(80 μmol/L)である.鎮痛薬,安静,輸液によって疼痛は 2 日後に治まった.肉眼的血尿は 4 日後に消失したが,顕微鏡的血尿は続いている.

DRUG THERAPY

  • B 型肝炎ウイルス感染
    Hepatitis B Virus Infection

    現在,B 型肝炎ウイルス(HBV)感染の治療には,より有効で耐性が生じにくい抗ウイルス薬が入手可能である.HBV の高レベルの複製と慢性 HBV 感染の最終的な帰結が関連していることを示すエビデンスがあることを考えると,慢性 HBV 感染の進行を遅らせ,回復させるためには,強力で持続的,かつ治癒的な HBV DNA の抑制が重要である.この論文では,HBV 感染の治療戦略について概説する.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • テーマの多様性
    Variations on a Theme

    57 歳の男性が,2 週間にわたる労作時に進行する呼吸困難,下肢の浮腫,乾性咳嗽,微量の喀血のため救急部を受診した.また,この 4 日間,直腸から鮮紅色の下血がときおりあり,悪心・嘔吐が間欠的に生じているという.

HEALTH LAW, ETHICS, AND HUMAN RIGHTS

  • 致死注射と憲法
    Lethal Injection and the Constitution

    2008 年の米国最高裁における Baze Rees 裁判において,裁判所は,ケンタッキー州で致死注射として用いられている 3 種類の薬剤のプロトコール(チオペンタールナトリウム,臭化パンクロニウム,塩化カリウム)は,残酷かつ異常な刑罰には当たらず,米国憲法に違反しないという判決を下した.著者は裁判官が書いた 7 つの異なる意見を要約し,この判決の意義について論じている.