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    NEJM.orgからピックアップされている注目記事の一覧です.

September 3, 2009
Vol. 361 No. 10

ORIGINAL ARTICLE

  • 肺腺癌に対するゲフィチニブ療法とカルボプラチン+パクリタキセル併用療法の比較
    Gefitinib or Carboplatin-Paclitaxel in Pulmonary Adenocarcinoma

    この試験では,1,200 人を超える東アジアの肺腺癌患者を対象に,初回療法としての上皮成長因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ阻害薬ゲフィチニブの投与を,カルボプラチン+パクリタキセルの併用投与と比較した.主要エンドポイントである無増悪生存期間は,EGFR 変異陽性患者ではゲフィチニブ療法で,変異陰性患者ではカルボプラチン+パクリタキセル併用療法で,有意に延長した.

  • 肺癌における上皮成長因子受容体変異のスクリーニング
    Screening for Epidermal Growth Factor Receptor Mutations in Lung Cancer

    EGFR 遺伝子に変異がみられる肺癌では,チロシンキナーゼ阻害薬に対する感受性が高くなっている.EGFR 変異とチロシンキナーゼ阻害薬に対する反応については,アジア人患者がもっとも集中的に研究されている.この研究では,欧州の集団を対象とした EGFR 変異の大規模スクリーニングが実施可能であることと,そうしたスクリーニングが進行肺癌の治療に関する意思決定に影響を及ぼす可能性が示唆されている.

  • デュピュイトラン拘縮に対するヒストリチクス菌由来コラゲナーゼ注射
    Injectable Collagenase Clostridium Histolyticum for Dupuytren's Contracture

    デュピュイトラン拘縮患者 308 例を対象としたこの無作為化二重盲検試験では,ヒストリチクス菌由来コラゲナーゼ注射は,拘縮と可動域の改善にプラセボよりも有効であった.有害作用として,2 例で腱断裂が生じ,多くの患者で局所的な疼痛・腫脹がみられた.

  • 血管手術を受ける患者におけるフルバスタチン投与
    Fluvastatin in Patients Undergoing Vascular Surgery

    プラセボ対照試験において,血管手術を受ける患者 497 例を,術前と術後 30 日間にフルバスタチンを投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.術後の心筋虚血の発生頻度はフルバスタチン群のほうが有意に低かった.フルバスタチン投与は,心血管系の原因による死亡率の低下,心筋梗塞の発症率の低下との関連がみられた.

CLINICAL PRACTICE

  • 心血管疾患予防に冠動脈カルシウムスクリーニング?
    Coronary Calcium Screening for Cardiovascular Prevention?

    52 歳の男性が,冠疾患危険因子の評価のため冠動脈カルシウム(CAC)検査を希望している.この検査を勧める地元の病院の広告を見たという.男性に心疾患の症状はなく,喫煙歴もなく,過体重でもないが,定期的な運動は行っていない.男性の父親はヘビースモーカーで 45 歳のときに心筋梗塞で死亡した.血圧は 130/85 mmHg,総コレステロール値は 220 mg/dL,低比重リポ蛋白コレステロール値は 160 mg/dL,高比重リポ蛋白コレステロール値は 38 mg/dL,空腹時血糖値は 92 mg/dL である.CAC 検査に関して,どのような助言をすべきであろうか?

CURRENT CONCEPTS

  • 腸移植
    Intestinal Transplantation

    治癒不可能な腸不全患者の一部では,腸移植は治療選択肢の 1 つである.静脈栄養を要する患者,切除不能な腸間膜腫瘍を有する患者,腸不全による制約に適応できない患者などが対象となる.この総説では,免疫抑制と拒絶反応の管理における課題など,最近の経験についてまとめている.

CLINICAL PROBLEM-SOLVING

  • 心臓の変化
    A Change of Heart

    高血圧の既往を有する 57 歳の女性教師が,放散痛を伴わない胸部圧迫感と,頭のふらつきで緊急医療センターを受診した.胸部圧迫感は,その朝勤務先に着いてすぐ,担任する 5 年生の生徒の親に身体的に脅かされてから現れた.その直後は安静していることで症状は改善したが,帰宅するまでに悪化した.