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April 9, 1998 Vol. 338 No. 15

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冠動脈疾患患者における葉酸強化朝食用シリアルによるホモシスチ(テイ)ン血漿濃度の低下
REDUCTION OF PLASMA HOMOCYST(E)INE LEVELS BY BREAKFAST CEREAL FORTIFIED WITH FOLIC ACID IN PATIENTS WITH CORONARY HEART DISEASE

M.R. MALINOW AND OTHERS

背景

米国食品医薬品局(FDA)は,先天性神経管欠損症の予防のためにシリアル・グレイン製品に葉酸を強化するよう勧告した.葉酸補給は,動脈閉塞疾患において上昇していることの多い血漿ホモシスチ(テイ)ン濃度または血漿総ホモシステイン濃度を低下させるため,われわれは,葉酸を強化すれば血漿ホモシスチ(テイ)ン濃度が低下する可能性があるという仮説を立てた.

方 法

この仮説を検討するため,冠動疾患の男女 75 人における無作為二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験において,3 種類の濃度の葉酸を強化し,ビタミン B6,B12 の推奨食事摂取量も含有する,朝食用シリアルの効果を評価した.

結 果

朝食用シリアルの葉酸含量に比例して,血漿葉酸濃度は増加し,ホモシスチ(テイ)ン血漿濃度は低下した.葉酸 1 日量 127 μg を補給するシリアルは,FDA の栄養強化政策による葉酸増加 1 日摂取量にほぼ等しく,血漿葉酸濃度を 30.8%上昇させた(p=0.045)が,血漿ホモシスチ(テイ)ン濃度は 3.7%低下したにすぎなかった(p=0.24).しかし,葉酸 1 日量 499 μg または 665 μg を補給するシリアルは,血漿葉酸濃度をそれぞれ,64.8%(p<0.001)および 105.7%(p=0.001)上昇させ,血漿ホモシスチ(テイ)ン濃度を 11.0%(p<0.001)および 14.0%(p=0.001)低下させた.

結 論

葉酸強化シリアルは血漿葉酸濃度を上昇させ,血漿ホモシスチ(テイ)ン濃度を低下させることができる.葉酸強化が血管疾患を予防するか否かを明らかにするためには,今後の臨床試験が必要である.その時まで,われわれの結果は,FDA の勧告量以上の葉酸強化が妥当であることを示唆している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 1009 - 15. )