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日本語アブストラクト

March 5, 1998 Vol. 338 No. 10

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非インスリン依存型糖尿病および高血圧症患者の心血管転帰に及ぼすニソルジピンとエナラプリルの効果の比較
THE EFFECT OF NISOLDIPINE AS COMPARED WITH ENALAPRIL ON CARDIOVASCULAR OUTCOMES IN NON-INSULIN-DEPENDENT DIABETES AND HYPERTENSION

R.O. ESTACIO AND OTHERS

背景

高血圧症に対するカルシウムチャネル拮抗薬の使用は,心血管合併症のリスクの増加に関連する可能性があると最近報告されている.この問題はなお論争中であるので,われわれは,大規模試験の一部として,非インスリン依存型糖尿病で高血圧症の患者を無作為割付けしてカルシウムチャネル拮抗薬ニソルジピンまたはアンジオテンシン変換酵素阻害薬エナラプリルのいずれかによる治療を行って,彼らにおける心血管合併症の発生率を調べた.

方 法

糖尿病の適切な血圧コントロール(ABCD)臨床試験は,糖尿病の合併症の発生率および進行に及ぼす中等度血圧コントロール(目標拡張期血圧,80~89 mmHg)の効果と血圧の集中的コントロール(目標拡張期血圧,75 mmHg)の効果を比較するプロスペクティブ無作為盲検臨床試験である.この試験ではまた,糖尿病における合併症の予防および進行に関して,第一選択抗高血圧薬としてのニソルジピンとエナラプリルを比較した.本試験では,ABCD 臨床試験の高血圧症患者のサブグループの第二義的エンドポイント(心筋梗塞の発生率)に関するデータを分析した.

結 果

臨床試験の高血圧症(ベースライン拡張期血圧,≧ 90 mmHg)患者 470 人の分析では,5 年の追跡期間を通じてニソルジピン群(235 人)とエナラプリル群(235人)で,血圧,血糖と脂質濃度は同じようにコントロールされ,また喫煙行動も同様であった.心危険因子について補正した後,多ロジス ティック回帰モデルを用いたところ,致死的・非致死的心筋梗塞の発生率は,ニソルジピン(25 例)のほうがエナラプリル(5 例)よりも高いことが判明した(リスク比,9.5;95%信頼区間,2.3~21.4).

結 論

糖尿病でなおかつ高血圧症であるこの患者集団では,カルシウムチャネル拮抗薬ニソルジピン治療群の患者は,エナラプリル群の患者より致死的・非致死的心筋梗塞の発生率が有意に高いことが判明した.われわれの知見は第二義的エンドポイントに基づくため,確認を必要とする.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 338 : 645 - 52. )