March 26, 1998 Vol. 338 No. 13
進行ヒト免疫不全ウイルス感染症患者における合併症発症率と死亡率の減少
DECLINING MORBIDITY AND MORTALITY AMONG PATIENTS WITH ADVANCED HUMAN IMMUNODEFICIENCY VIRUS INFECTION
F.J. PALELLA, JR., AND OTHERS
米国における全米調査データから,最近,後天性免疫不全症候群(AIDS)に関連した合併症発症率と死亡率が著しく減少したことが示された.
これらの減少を調査するために,1994 年 1 月~97 年 6 月のあいだに米国内の 8 都市のヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療を専門とする 9 ヵ所の診療所で診察を受けた,CD4 陽性細胞数が 100/mm3 未満になったことが少なくとも 1 回ある患者 1,255 人に関するデータを分析した.
患者の死亡率は,1995 年の 29.4/100 人年から,1997 年の第 2 四半期には 8.8/100 人年に減少した.性別,人種,年齢,HIV 伝播の危険因子にかかわらず,死亡率は減少した.三つの主な日和見感染症(ニューモシスチスカリニ肺炎,マイコバクテリウム・アビウム複合感染症,サイトメガロウイルス網膜炎)のいずれの発生率も,1994 年の 21.9/100 人年から,1997 年中期には 3.7/100 人年に減少した.治療不成功率モデルでは,抗レトロウイルス療法の強度(なし,単剤療法,プロテアーゼ阻害薬を含まない併用療法,プロテアーゼ阻害薬を含む併用療法に分類)が上がると,合併症発症率と死亡率は段階的に減少した.抗レトロウイルス薬の併用療法はもっとも利益が大きく,そのレジメンにプロテアーゼ阻害薬が含まれるとさらに利益が追加された.民間保険に加入している患者は,メディケアまたはメディケイドに加入している患者よりもプロテアーゼ阻害薬が処方される頻度が高く,死亡率が低かった.
AIDS による合併症発症率と死亡率の最近の減少は,より強力な抗レトロウイルス療法の使用に起因するものである.