November 5, 1998 Vol. 339 No. 19
広範囲の初期コレステロール値を示す冠動脈性心疾患患者におけるプラバスタチンによる心血管イベントと死亡の予防
PREVENTION OF CARDIOVASCULAR EVENTS AND DEATH WITH PRAVASTATIN IN PATIENTS WITH CHD AND A BROAD RANGE OF INITIAL CHOLESTEROL LEVELS
THE LONG-TERM INTERVENTION WITH PRAVASTATIN IN ISCHAEMIC DISEASE (LIPID) STUDY GROUP
広範囲のコレステロール値を示す冠動脈性心疾患患者では,コレステロール低下療法は,冠動脈イベントのリスクを低下させるが,冠動脈性心疾患による死亡率および総死亡率に及ぼす効果は依然として不明である.
二重盲検無作為臨床試験において,31~75 歳の患者 9,014 人において,平均追跡期間 6.1 年にわたって,プラバスタチン(1 日 40 mg)の効果をプラセボの効果と比較した.患者は心筋梗塞の既往,または不安定狭心症のために入院の既往があり,初期総コレステロール血漿濃度は 155~271 mg/dL であった.両群にコレステロール低下食を摂るように勧めた.一次試験転帰は,冠動脈性心疾患による死亡率であった.
冠動脈性心疾患による死亡はプラセボ群では患者の 8.3%,そしてプラバスタチン群では 6.4%に起り,リスクの相対的な減少は 24%(95%信頼区間,12~35%;p<0.001)であった.総死亡率はプラセボ群で 14.1%,そしてプラバスタチン群で 11.0%(リスクの相対的な減少,22%;95%信頼区間,13~31%;p<0.001)であった.すべての心血管転帰の発生率はプラバスタチン群の患者では一貫して低かった;これらの転帰は心筋梗塞(リスクの減少,29%;p<0.001),冠動脈性心疾患による死亡または非致死的心筋梗塞(リスクの 24%減少,p<0.001),卒中発作(リスクの 19%減少,p = 0.048),そして冠動脈血管再生(リスクの 20%減少,p<0.001)等であった.治療効果は既定のすべてのサブグループについて同程度であった.プラバスタチンによる治療には臨床的に有意な副作用を認めなかった.
プラバスタチン療法は,広範囲の初期コレステロール値を示す心筋梗塞または不安定狭心症の既往を有する患者において,プラセボ群の率と比較して,予想されるすべての心血管イベントの発生率とともに,冠動脈性心疾患による死亡率および総死亡率を低下させた.