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July 16, 1998 Vol. 339 No. 3

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便潜血陽性患者における上部消化管病変と結腸病変の相対的頻度
RELATIVE FREQUENCY OF UPPER GASTROINTESTINAL AND COLONIC LESIONS IN PATIENTS WITH POSITIVE FECAL OCCULT-BLOOD TESTS

D.C. ROCKEY, J. KOCH, J.P. CELLO, L.L. SANDERS, AND K. MCQUAID

背景

出血病変が消化管のどの部位にあっても,グアヤック法による便潜血検査は陽性反応を示すが,上部消化管病変と結腸病変の相対的頻度はわかっていない.

方 法

30 ヵ月の期間に,1 回以上の便検体で便潜血が認められ,精密検査に紹介された患者全員を前向きに検討した.便潜血は,ルーチンスクリーニングの一部として得られた便標本,または直腸指診によって得られた便を標準的なグアヤック法で検査し検出した.鉄欠乏性貧血または活動性消化管出血を有することが確認されている患者は,研究から除外した.参加者全員の詳しい病歴を得て,直腸鏡検査を行い,続いて食道胃十二指腸鏡検査を行った.

結 果

紹介された便潜血患者 409 人のうち,適格である可能性があったのは 310 人で,最終的に 248 人(平均年齢,61 歳;範囲,40~89 歳)を検討した;40%が女性であった.119 人(48%)に潜血に一致する病変を同定した;71 人では上部消化管に,54 人では結腸に出血性病変が認められた.6 人は上部消化管と結腸の双方に異常を有していた.上部胃腸管病変でとくに頻度が高かったのは,食道炎(23 人),胃潰瘍(14 人),胃炎(12 人),十二指腸潰瘍(10 人)であった.上部消化管に病変を有する 30 人は,アスピリン,エタノール,非ステロイド性抗炎症薬,またはこれらの物質の二つ以上を長期にわたり使用していた.結腸病変でとくに頻度が高かったのは,直径 1.0 cm を超える腺腫(29 人),癌(13 人),結腸炎(5 人),血管拡張症(5 人)であった.消化管病変検出に対する症状の全般的な感受性は低かったが,ロジスティック回帰分析により,上部消化管における臨床症状の存在は,上部消化管病変の検出と関連することが示された(オッズ比,2.6;95%信頼区間,1.4~4.7).症状のある患者と症状のない患者の双方において,上部消化管病変の有病率は,結腸病変の有病率と同程度あるいはそれ以上であった.

結 論

便潜血陽性で精密検査に紹介された患者集団において,鉄欠乏性貧血と活動性出血の患者を除外すると,上部消化管病変が同定される頻度は結腸病変が同定される頻度よりも高かった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 153 - 9. )