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July 16, 1998 Vol. 339 No. 3

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急性バベシア症後の持続的寄生虫血症
PERSISTENT PARASITEMIA AFTER ACUTE BABESIOSIS

P.J. KRAUSE AND OTHERS

背景

Babesia microti 原虫によって引き起こされる人畜共通感染症であるバベシア症は通常,寄生虫血症は一過性であるように思われるため,その症状が軽度の場合は治療しない.しかし,この感染症の診断に用いられる顕微鏡的方法は感度がわるく,長期的に追跡された感染患者はほとんどいない.われわれは,特異的な抗バベシア症療法を受けた人々における寄生虫血症の期間を,特異的治療を受けなかった無症状感染者と比較した.

方 法

コネチカット州南東部およびロードアイランド州ブロックアイランドの住民において,疾患症例およびセロコンバージョン症例検出のためにデザインされたプロスペクティブな地域研究において,1991~96 年のあいだにバベシア感染被験者 46 人を確認した.急性バベシア症被験者を,血液塗抹標本,Bab. microti ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ,血清検査,および質問書によって,3 ヵ月ごとに 27 ヵ月までモニターした.

結 果

特異的症状を示さず,特異的療法を行わなかった感染被験者 24 人では,バベシア DNA は平均で 82 日間血液中に存続した.クリンダマイシンおよびキニーネ療法を受けた急性疾患被験者 22 人では,バベシア DNA は 16 日間存続したが(p = 0.03),そのうち 9 人は治療の副作用を示した.特異的治療を受けなかった被験者では,バベシア症の症状は,3 ヵ月以上バベシア DNA が存在した被験者 5 人では平均で 114 日間持続し,DNA が検出可能であったのは 3 ヵ月未満であった別の 7 人では 15 日間持続したにすぎなかった(p<0.05);被験者 1 人は 2 年後に疾患が再発した.

結 論

治療せずに放置すると,無症状バベシア感染症は何ヵ月または何年も持続する可能性がある.クリンダマイシンおよびキニーネによる治療は寄生虫血症の期間を短くするが,感染はなおも持続して再発し,副作用が起るのが一般的である.治療の改善が必要である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 160 - 5. )