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November 26, 1998 Vol. 339 No. 22

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急性血栓性血小板減少性紫斑病における von Willebrand 因子開裂プロテアーゼに対する抗体
ANTIBODIES TO VON WILLEBRAND FACTOR–CLEAVING PROTEASE IN ACUTE THROMBOTIC THROMBOCYTOPENIC PURPURA

H.-M. TSAI AND E.C.-Y. LIAN

背景

血栓性血小板減少性紫斑病は微小循環における広範な血小板性血栓を特徴とする致命的となりうる疾患である.正常な血液循環中では,von Willebrand 因子は血漿中のプロテアーゼによって開裂される.われわれは,このプロテアーゼの欠損が,血栓性血小板減少性紫斑病患者を血小板血栓にかかりやすくするという仮説を調査した.

方 法

急性血栓性血小板減少性紫斑病患者,その他の疾患患者,および健常対照被験者からの血漿中の von Willebrand 因子開裂プロテアーゼの活性を調べ,このプロテアーゼに対する阻害物質の有無を調べた.また,血漿サンプル中の凍結上清分画の純化 von Willebrand 因子のリストセチン補因子活性に及ぼす切断力の効果も調べた.

結 果

急性血栓性血小板減少性紫斑病患者 37 人の血漿サンプルの 39 例が,von Willebrand 因子開裂プロテアーゼの重度欠損を示した.寛解期にある血栓性血小板減少性紫斑病患者の血漿サンプル 16 例,または健常被験者,無作為に選択した入院患者もしくは外来患者,または溶血,血小板減少,またはその他の原因による血栓症患者の血漿サンプル 74 例からは欠損は検出されなかった.プロテアーゼに対する阻害活性は,この疾患の急性期の血漿サンプル 39 例中 26 例(67%)において検出された.阻害物質は IgG 抗体であった.切断力は,急性期に得た血漿サンプルの凍結上清における von Willebrand 因子のリストセチン補因子活性を増加させたが,健常被験者の血漿の凍結上清における活性を低下させた.

結 論

Von Willebrand 因子開裂プロテアーゼに対する阻害抗体は,急性血栓性血小板減少性紫斑病患者に起る.このプロテアーゼの欠損は,この疾患における血小板血栓の発病に重要な役割を有する可能性がある.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1585 - 94. )