November 26, 1998 Vol. 339 No. 22
院外心停止に対するエピネフリンの高用量反復投与と標準用量反復投与の比較
A COMPARISON OF REPEATED HIGH DOSES AND REPEATED STANDARD DOSES OF EPINEPHRINE FOR CARDIAC ARREST OUTSIDE THE HOSPITAL
P.-Y. GUEUGNIAUD AND OTHERS
臨床試験により,心停止の管理にエピネフリンの高用量投与が奏効しないことが示された.われわれは,院外心停止の症例においてエピネフリンの高用量反復投与と標準用量反復投与を比較するプロスペクティブ多施設無作為試験を実施 した.
院外で心停止した成人患者を,外部電気ショックの施術にもかかわらず心律動が心室細動を継続している場合,またはエピネフリン投与時に不全収縮または無脈電気活性を示している場合に登録した.患者 3,327 人を無作為割付けして,進行期心生命サポートに関するプロトコルに従って,エピネフリンの高用量(各 5 mg)投与または標準用量(各 1 mg)の投与を 15 回まで行った.
高用量投与群では,患者 1,677 人中 40.4%が自発循環を回復したのに対し,標準用量投与群では 1,650 人中 36.4%であった(p=0.02);生存して入院したのは,高用量投与群では 26.5%であったのに対し,標準用量群では 23.6%であった(p=0.05);生存して退院したのは大量投与群の 2.3%に対し,標準用量群では 2.8%であった(p=0.34).退院した人の神経状態に治療による有意差を認めなかった.エピネフリンの高用量投与は不全収縮の患者では蘇生成功率を改善したが,心室細動患者では改善しなかった.
われわれの研究では,院外心停止後の長期生存は,エピネフリンの高用量反復投与を行っても標準用量の繰り返し投与と同程度であった.