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日本語アブストラクト

December 3, 1998 Vol. 339 No. 23

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冠動脈ステント留置後の 3 つの抗血栓薬レジメンを比較する臨床試験
A CLINICAL TRIAL COMPARING THREE ANTITHROMBOTIC-DRUG REGIMENS AFTER CORONARY-ARTERY STENTING

M.B. LEON AND OTHERS

背景

冠動脈ステントの留置後,ステント血栓症を予防するために抗血栓薬が用いられている.冠動脈ステント留置後の,3 つの抗血栓薬レジメン ― アスピリン単独,アスピリンとワルファリン,アスピリンとチクロピジン ― の有効性と安全性を比較した.

方 法

50 施設において冠動脈ステント留置を行った患者 1,965 人中,血管造影によるステント留置成功の基準を満たした 1,653 人(84.1%)を,次の 3 つのレジメンのいずれかに無作為に割り付けた:アスピリン単独(557 人),アスピリンとワルファリン(550 人),アスピリンとチクロピジン(546 人).ステント血栓症を反映する臨床イベントはすべて,既定の主要エンドポイントに含まれた:30 日以内の死亡,標的病変の血行再建,血管造影上明らかな血栓症,心筋梗塞.

結 果

主要エンドポイントを 38 人に認めた:アスピリン単独群の 20 人(3.6%),アスピリンとワルファリン群の 15 人(2.7%),アスピリンとチクロピジン群の 3 人(0.5%)(3 群すべての比較に関して p=0.001).出血性合併症は,アスピリン単独群の 10 人(1.8%),アスピリンとワルファリン群の 34 人(6.2%),アスピリンとチクロピジン群の 30 人(5.5%)に発生し(3 群すべての比較に関して p<0.001),血管外科合併症の発生率はそれぞれ,0.4%(2 人),2.0%(11 人),2.0%(11 人)であった(p=0.02).好中球減少症または血小板減少症の発生率には,3 群間で有意差を認めなかった(総発生率,0.3%).

結 論

アスピリン単独,アスピリンとワルファリンの併用と比較して,アスピリンとチクロピジンによる治療はステント血栓症の発生率が低かったが,出血性合併症はアスピリン単独よりも多かった.冠動脈ステント留置後では,ステント血栓症という重篤な合併症の予防にアスピリンとチクロピジンを検討すべきである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1665 - 71. )