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December 3, 1998 Vol. 339 No. 23

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初回バルーン血管形成術後の再狭窄に対するバルーン血管形成術と冠動脈ステント留置の比較
CORONARY-ARTERY STENTING COMPARED WITH BALLOON ANGIOPLASTY FOR RESTENOSIS AFTER INITIAL BALOON ANGIOPLASTY

R. ERBEL AND OTHERS

背景

冠動脈内ステント留置は,新たな冠動脈病変を有する患者における血管形成術後の再狭窄率を低下させる.われわれは,前向き無作為化多施設共同試験を行い,冠動脈内ステント留置が,標準的なバルーン血管形成術と比較して再狭窄病変における内腔狭窄の再発を減少させるか否かを明らかにした.

方 法

バルーン血管形成術を少なくとも 1 回受けたことがあり,形成術後に血管造影にて再狭窄の所見を認める患者 383 人を無作為割付けして,標準的なバルーン血管形成術(192 人)または Palmaz–Schatz ステントによる冠動脈内ステント留置(191 人)を行った.主要エンドポイントは,6 ヵ月での血管造影による再狭窄の所見(血管内径の 50%以上の狭窄として定義)とした.副次的エンドポイントは,死亡,Q 波心筋梗塞,バイパス手術,標的血管の血行再建とした.

結 果

再狭窄率は,血管形成術群のほうがステント群よりも有意に高かった(18% 対 32%,p=0.03).6 ヵ月の時点で標的血管の血行再建を要したのは,血管形成術群では 27%であったのに対し,ステント群ではわずか 10%であった(p=0.001).この差は,血管形成術群では最小血管内径の平均値(±SD)(1.85±0.56 mm)がステント群(2.04±0.66 mm)より小さいことに起因し,追跡調査時の差の平均値は 0.19 mm(p=0.01)であった.亜急性血栓症は,血管形成術群では 0.6%,ステント群では 3.9%に発生した.250 日の時点での無イベント生存率は,血管形成術群では 72%,ステント群では 84%であった(p=0.04).

結 論

選択的冠動脈ステント留置は,バルーン血管形成術後の再狭窄の治療に有効であった.ステント留置の結果,亜急性血栓症の発生率がより高かったにもかかわらず,血栓症の再発率は低下した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 1672 - 8. )