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July 23, 1998 Vol. 339 No. 4

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第 II 期結腸直腸癌における微小転移と生存
MICROMETASTASES AND SURVIVAL IN STAGE II COLORECTAL CANCER

G.-J. LIEFERS AND OTHERS

背景

結腸直腸癌の標準療法では,第 III 期(リンパ節転移の存在によって定義)患者に対してはアジュバント化学療法を行うが,第 II 期腫瘍(リンパ節転移を有しない)の患者に対しては行わない.しかし,第 II 期腫瘍患者の 20%が疾患の再発のために死亡する.われわれは,微小転移の検出を用いて再発のリスクが高い第 II 期疾患患者を特定することができるか否かを調べた.

方 法

われわれは,癌胎児抗原(CEA)特異的ネスト逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いて,第 II 期結腸直腸癌を有する一連の患者 26 人からのリンパ節 192 個を分析した.5 年間の追跡調査情報を患者全員について得た.微小転移を有する患者および有しない患者について,観察された生存率および補正生存率を評価した.

結 果

微小転移は,患者 26 人中 14 人(54%)では一つ以上のリンパ節に検出された.補正 5 年生存率(癌関連死のみを考慮した)はこの群では 50%であったが,微小転移のない患者 12 人では生存率は 91%であった(log-rank 検定により p=0.02).観察された 5 年生存率はそれぞれ,36%および 75%であった(p=0.03).両群は,年齢,性別,腫瘍の位置(脾臓曲との位置関係),腫瘍分化の程度(グレード),および原発腫瘍の直径に関して同等であった.

結 論

微小転移の分子レベルでの検出は,第 II 期結腸直腸癌における予後判定の手段となる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 223 - 8. )