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July 23, 1998 Vol. 339 No. 4

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心筋梗塞の既往があるまたはない 2 型糖尿病患者および非糖尿病被験者における冠動脈心疾患による死亡率
MORTALITY FROM CORONARY HEART DISEASE IN SUBJECTS WITH TYPE 2 DIABETES AND IN NONDIABETIC SUBJECTS WITH AND WITHOUT PRIOR MI

S.M. HAFFNER, S. LEHTO, T. RÖNNEMAA, K. PYÖRÄLÄ, AND M. LAAKSO

背景

2 型(インスリン非依存型)糖尿病は,冠動脈心疾患のリスクの著しい増加に関連する.これまで心筋梗塞を起したことがない糖尿病患者の心血管危険因子を,心筋梗塞を起したことのある患者と同様に,積極的に治療すべきか否かについては議論が続いている.

方 法

この問題に取り組むために,フィンランドの人口ベースの研究から,非糖尿病被験者 1,373 人における心筋梗塞(致死的および非致死的)の 7 年間の発生率を,糖尿病患者 1,059 人における発生率と比較した.

結 果

心筋梗塞の 7 年間の発生率は,非糖尿病被験者では,ベースラインで心筋梗塞の既往がある場合は 18.8%,ない場合は 3.5%であった(p<0.001).糖尿病患者では,ベースラインで心筋梗塞の既往がある場合は 45.0%,ない場合は 20.2%であった(p<0.001).心筋梗塞の既往のない糖尿病患者における,心筋梗塞の既往のある非糖尿病被験者と比較した冠動脈心疾患による死亡のハザード比は,年齢と性別で補正した後も 1.0 から有意な差はなく(ハザード比,1.4;95%信頼区間,0.7~2.6),2 群における梗塞のリスクが同程度であることを示唆している.さらに,総コレステロール,高血圧,喫煙を補正しても,このハザード比は依然として 1.0 に近い値であった(ハザード比,1.2;95%信頼区間,0.6~2.4).

結 論

われわれのデータは,心筋梗塞の既往のない糖尿病患者は,心筋梗塞の既往のある非糖尿病患者と同程度に高い心筋梗塞のリスクを有することを示唆している.これらのデータは,糖尿病患者においても,心筋梗塞の既往のある非糖尿病被験者と同様に,積極的に心血管危険因子を治療する根拠となる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 229 - 34. )