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August 27, 1998 Vol. 339 No. 9

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血液透析とエポエチン投与を行っている心疾患患者における低ヘマトクリット値と正常ヘマトクリット値の効果の比較
THE EFFECTS OF NORMAL AS COMPARED WITH LOW HEMATOCRIT VALUES IN PATIENTS WITH CARDIAC DISEASE WHO ARE RECEIVING HEMODIALYSIS AND EPOETIN

A. BESARAB AND OTHERS

背景

末期腎不全患者では,エリスロポエチン欠乏の結果として貧血が起り,貧血を部分的に改善するために,遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(エポエチン)が処方される.われわれは,血液透析を受けている心疾患患者のヘマトクリットを正常化することのリスクと利益を調べた.

方 法

うっ血性心不全または虚血性心疾患の臨床的所見を有し,血液透析を受けている患者 1,233 人を検討した.618 人をヘマトクリット 42%(正常値)の達成と維持を目的としてエポエチンを漸増投与する群に割り付け,615 人を試験期間中ヘマトクリット 30%を維持するのに十分な用量のエポエチンを投与する群に割り付けた.治療期間の中央値は 14 ヵ月であった.主要評価項目は,死亡までの期間または最初の非致死的心筋梗塞とした.

結 果

29 ヵ月後,正常ヘマトクリット群では,死亡は 183 例,初回非致死的心筋梗塞は 19 例発生しており,低ヘマトクリット群では,死亡は 150 例,初回非致死的心筋梗塞は 14 例発生していた(低ヘマトクリット群と比較した正常ヘマトクリット群のリスク比,1.3;95%信頼区間,0.9~1.9).2 群の無イベント生存率の差は既定の統計学的停止境界に達しなかったが,試験を中止した.2 群の死因は同様であった.死亡率は,両群ともヘマトクリット値の上昇とともに低下した.正常ヘマトクリット群の患者は透析の適合性が低下し,低ヘマトクリット群の患者に比べて,デキストラン鉄の静脈内投与を受ける頻度が高かった.

結 論

血液透析を受けている臨床的に明らかなうっ血性心不全または虚血性心疾患患者では,ヘマトクリットを 42%に上昇させるためのエポエチンの投与は推奨されない.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1998; 339 : 584 - 90. )