先天奇形を有する女性の生存,出産,およびその児が先天奇形を有するリスクに関する人口ベースの研究
Survival and Childbearing among Female Subjects with Birth Defects and the Risk of Recurrence in Their Children
R. SKJAERVEN, A.J. WILCOX, AND R.T. LIE
先天奇形を有する人は,周産期および新生児期の死亡リスクが高い.しかし,そのような人のその後の生存や出産については,あまり知られていない.
1967~82 年にノルウェーで出生し,先天奇形で登録された 8,192 例の女性および青春期の女児と,先天奇形を有しない女性および青春期の女児 451,241 例から成るコホートで研究を行った.生存率は 1992 年まで調査し,出産率は 1997 年の 10 月まで調査した.さらに,これらの被験者の児における先天奇形のリスクの推定も行った.
15 歳まで生存した割合は,先天奇形を有する女性では 80%であったのに対し,先天奇形を有しない女性では 98%であった.これらの生存被験者のうち,30 歳までに 1 人以上の児を出産した割合は,先天奇形を有する女性では 53%であったのに対し,先天奇形を有しない女性では 67%であった.すなわち,先天奇形を有する女性が 30 歳までに出産する確率は,先天奇形を有しない女性の 1/3 であった.先天奇形を有する女性の児は,先天奇形を有しない女性の児に比べて,先天奇形を有するリスクが有意に高かった(相対リスク,1.6;95%信頼区間,1.3~2.1).このリスクの上昇は,すべてその母親がもつ特定の奇形に限定され,同じ先天奇形を有する相対リスクは 5.5~82 であった.対照的に,母親とは異なる奇形を有する新生児を出産する相対リスクに上昇は認められなかった.
先天奇形を有する女性および女児は,先天奇形を有しない女性および女児よりも生存率が低く,とくに生後数年間の生存率が低い.また,出産の確率も低い.さらに,自分と同じ奇形を有する児を出産するリスクが高い.