超低出生体重児におけるビタミン A 補充
Vitamin A Supplementation for Extremely-Low-Birth-Weight Infants
J.E. TYSON AND OTHERS
ビタミン A の補充は,超低出生体重児における慢性肺疾患と敗血症のリスクを低下させる可能性がある.われわれのパイロット試験の結果は,5,000 IU という用量を 1 週間に 3 回,4 週間筋肉内投与することが,これまでの試験で投与されてきた低用量よりも有効であるということを示唆するものであった.
出生後 24 時間の時点において呼吸支持が必要であった 807 例の新生児を対象として,このレジメンを偽治療と比較したときの有効性と安全性を評価するための盲検法による多施設共同無作為試験を実施した.平均出生体重はビタミン A 群が 770 g,対照群が 769 g で,それぞれの妊娠期間は 26.8 週,26.7 週であった.
最終月経の終了時点から数えた週齢で,36 週目までに死亡した新生児は,ビタミン A 群では 405 例中 59 例(15%),対照群では 402 例中 55 例(14%)であった.主要転帰,すなわち 月経後週齢 36 週までの死亡または慢性肺疾患が発生した新生児は,ビタミン A 群のほうが対照群よりも有意に少なかった(55% 対 62%;相対リスク,0.89;95%信頼区間,0.8~0.99).全体では,ビタミン A の補助栄養を新生児 14~15 例に投与するごとに,慢性肺疾患なく生存する児が 1 例多くなった.ビタミン A の毒性と考えられる徴候が発現した新生児の割合は,ビタミン A 群と対照群で同程度であった.血清レチノール値が 20 μg/dL(0.70 μmol/L)未満であった新生児の割合は,ビタミン A 群のほうが対照群よりも少なかった(25% 対 54%,p < 0.001).
超低出生体重児に,ビタミン A 5,000 IU を週 3 回,4 週間筋肉内投与すると,ビタミン A 欠乏症を示す生化学的所見が減少し,慢性肺疾患のリスクもわずかに低下した.