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February 4, 1999 Vol. 340 No. 5

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結核治療を徹底させるためにニューヨーク市が講じた法的措置
THE USE OF LEGAL ACTION IN NEW YORK CITY TO ENSURE TREATMENT OF TUBERCULOSIS

M.R. GASNER, K.L. MAW, G.E. FELDMAN, P.I. FUJIWARA, AND T.R. FRIEDEN

背景

結核の患者数が増加したことを受けて, ニューヨーク市は,治療レジメンそのものには関係ない問題に対応するための規制を通過させた.それは,保健局の局長が,住民に結核の検査を受けること,治療を終えること,直接監視の下で治療を受けること,あるいは治療のための拘束に従うことを命令することができるというものである.

方 法

われわれは,患者記録を再評価することによって,1993 年の 4 月から 1995 年の 4 月までに行われたこのような法的措置の行使についての評価を行った.

結 果

このような規制上の命令は,8,000 例を超える結核患者の中の 4%足らずに発せられただけであった.さまざまな社会問題を抱える患者の中で規制的な介入が必要であったのは,ごく少数であった:すなわち,注射による薬物使用の患者の 10%,アルコール中毒患者の 16%,ホームレス患者の 17%,“クラック”コカインの使用患者の 29%,および投獄歴のある患者の 38%であった.全体では,直接監視の下で治療を受けるように命令された患者は 150 例,治療中の拘束を命令された患者は 139 例,結核の検査を受けるように命令された患者は 12 例,治療を終えるように命令された患者は 3 例であった.これらの 304 例の患者には,中央値で 3 回の結核に関連した入院歴があり,中央値で 1 回の医学的な意見に逆らって病院を逃げ出した経験があった.拘束の命令は,再三にわたって命令に従わなかった患者と医学的な意見に逆らって病院を脱走した患者で多く,これら以外の患者で少ないようであった.拘束期間の中央値は,感染性のある患者が 3 週間,感染性のない患者が 28 週間であった.直接監視のもとで治療を受けるように命令された患者と比較すると,拘束患者のほうが感染性の持続期間が長く,医学的意見に逆らって病院を脱走した頻度が多く,直接監視下での治療を自発的には受け入れがたいようであった.死亡あるいは転居した患者を除いた全体では,患者の 96%が治療を完了し,2%が多剤耐性結核の治療を継続していた.

結 論

ほとんどの結核患者は,たとえ大きな社会的問題を抱えた患者であっても,普通は規制的な介入を受けなくても治療を完了させることができる.これらの患者は,患者の社会的特性よりは,むしろ結核の病歴に基づいて拘束されており,強制的な直接監視下での治療というような余り拘束力の強くない方法が有効なことが多かった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 359 - 66. )