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March 18, 1999 Vol. 340 No. 11

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食道腺癌の危険因子としての症候性胃食道逆流
Symptomatic Gastroesophageal Reflux as a Risk Factor for Esophageal Adenocarcinoma

J. LAGERGREN, R. BERGSTRÖM, A. LINDGREN, AND O. NYRÉN

背景

食道および胃噴門部の腺癌の病因はあまり理解されていない.そこで,われわれは,胃食道逆流とこれらの腫瘍とのあいだに考えられる関連性について疫学調査を実施した.

方 法

スウェーデンにおいて,全国規模の対象集団をもとにしたケースコントロール調査を実施した.症例の確認は迅速に行い,すべての症例を一定の基準で分類した.各被験者の胃食道逆流の病歴に関する情報は個人面接で収集した.オッズ比は,ロジスティック回帰から,可能性のある交絡変数による多変量補正を行って求めた.

結 果

面接した患者のうちの 189 例が食道腺癌,262 例が噴門部の腺癌であったが,これは,スウェーデンにおいて,1995~97 年の期間に本調査の対象として適格であった 529 例の患者の 85%にあたるものであった.比較のために,一般対象集団からの対照被験者 820 例と,食道偏平上皮癌の患者 167 例にも面接を行った.再発性の逆流症状を有していた患者では,このような症状がなかった人と比較したときのオッズ比は,食道腺癌が 7.7(95%信頼区間,5.3~11.4),噴門部の腺癌が 2.0(95%信頼区間,1.4~2.9)であった.逆流症状の頻度が高いほど,程度が重症なほど,そして持続期間が長いほど,このリスクは大きくなった.逆流症状が長期かつ重症な患者のオッズ比は,食道腺癌が 43.5(95%信頼区間,18.3~103.5),噴門部の腺癌が 4.4(95%信頼区間,1.7~11.0)であった.食道偏平上皮癌のリスクには逆流との関連はなかった(オッズ比,1.1;95%信頼区間,0.7~1.9).

結 論

胃食道逆流と食道腺癌とのあいだには,強力な,しかもおそらく病因的な関係が存在する.逆流と胃噴門部の腺癌との関係は,食道腺癌との関係と比較して弱いものである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 825 - 31. )