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March 18, 1999 Vol. 340 No. 11

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成人における心房中隔欠損症の閉鎖術後の心房性不整脈
Atrial Arrhythmia after Surgical Closure of Atrial Septal Defects in Adults

M.A. GATZOULIS, M.A. FREEMAN, S.C. SIU, G.D. WEBB, AND L. HARRIS

背景

心房粗動と心房細動は,心房中隔欠損症の成人の死亡原因になっている.そこで,われわれは,本試験において,心房中隔欠損症の欠損孔閉鎖術の前後における心房粗動と心房細動のリスク因子の同定を試みた.

方 法

トロント病院において,1986~97 年の期間に,症状の存在または重大な左右短絡(肺血流量 対 全身血流量比,>1.5:1)のいずれか,あるいはその両方のために心房中隔欠損症の閉鎖術を受けた 213 例(男性 82 例,女性 131 例)の成人患者を対象として,術前および術後の心房粗動あるいは心房細動の調査を行った.

結 果

40 例(19%)の患者には,術前に持続性の心房粗動または心房細動がすでに発現していた.術前に心房粗動または心房細動が発現していなかった患者と比較すると,発現していた患者のほうが,年齢が高く(平均 [±SD] 年齢,59±11 歳 対 37±13歳,p<0.001),平均肺動脈圧が高かった(25.0±9.7 mmHg 対 19.7±8.2 mmHg,p=0.001).周術期に死亡した患者はいなかった.平均追跡調査期間の 3.8±2.5 年以降も,この 40 例の患者のうちの 24 例(60%)には,心房粗動または心房細動が持続していた.これらの患者の平均年齢は,洞リズムに戻った 16 例の患者の年齢よりも高かった(p=0.02).心房粗動または心房細動の術後における新たな発現は,手術時の年齢が 40 歳以下の患者よりも,40 歳を超えた患者の追跡調査で発現することが多かった(67 例中 5 例 対 106 例中 0 例,p=0.008).遅発性のイベント(術後 1 ヵ月以降に発現したイベント)としては,6 例の患者に発現した脳卒中(1 例を除いた全例に心房粗動または心房細動が発現,これらの患者の 1 例は死亡)と,2 例の患者の非心因性の死亡などがあった.多変量解析の結果,手術時の高年齢(>40 歳)(p=0.001),術前における心房粗動または心房細動の存在(p<0.001),および術後における心房粗動,心房細動,房室接合部リズムの発現(p=0.02)が,術後の遅発性の心房粗動や心房細動を予測することが示された.

結 論

心房中隔欠損症の成人における心房粗動または心房細動のリスクは,欠損孔閉鎖の手術時の年齢と肺動脈圧に関係がある.したがって,心房中隔欠損症における心房粗動および心房細動の発症率を低下させるためには,適切な時期に欠損孔を閉鎖することが正当化される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 340 : 839 - 46. )