October 14, 1999 Vol. 341 No. 16
出生前のグルココルチコイド治療と超早産児における嚢胞性脳室周囲白質軟化症
Antenatal Glucocorticoid Treatment and Cystic Periventricular Leukomalacia in Very Premature Infants
O. BAUD AND OTHERS
出生前のグルココルチコイド療法は,早産児のいくつかの合併症の発症率を低下させる.しかしながら,脳性麻痺の主原因である嚢胞性脳室周囲白室軟化症の発症に対するこの治療法の効果は明らかになっていない.
パリ地域にある 3 ヵ所の周産期センターにおいて,1993 年 1 月~1996 年 12 月までに妊娠 24 週から 31 週までの期間に生産児として産まれた 883 例の新生児のコホートを後ろ向きに解析した.361 例の新生児の母親は分娩前にベタメタゾンの投与を受け,165 例の新生児の母親は分娩前にデキサメタゾンの投与を受けていたが,357 例の新生児の母親はグルココルチコイドの投与は受けていなかった.これらの三つの新生児群における嚢胞性脳室周囲白質軟化症の割合を,交絡因子で補正した単変量(bivariate)および多変量解析によって比較した
嚢胞性脳室周囲白質軟化症の割合は,母親がベタメタゾンの投与を受けていた新生児では 4.4%,母親がデキサメタゾンの投与を受けていた新生児では 11.0%,母親がグルココルチコイドの投与を受けていなかった新生児では 8.4%であった.妊娠期間,分娩様式,および絨毛羊膜炎,破水から分娩までの期間の延長(>24 時間),子癇前症,および子宮収縮抑制薬の使用の有無で補正すると,嚢胞性脳室周囲白質軟化症のリスクは,出生前のベタメタゾンの曝露により,グルココルチコイド療法をしない場合(補正オッズ比,0.5;95%信頼区間,0.2~0.9)あるいはデキサメタゾンの曝露(補正オッズ比,0.3;95%信頼区間,0.1~0.7)と比較して低下することとの関連が認められた.母親がデキサメタゾンの投与を受けていた新生児群では,母親がグルココルチコイドの投与を受けていなかった新生児群と比較したときの補正オッズ比は 1.5(95%信頼区間,0.8~2.9)であった.
出生前におけるベタメタゾンへの曝露は,デキサメタゾンへの曝露とは異なり,早産児の嚢胞性脳室周囲白質軟化症のリスクの低下に関連している.