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July 1, 1999 Vol. 341 No. 1

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同種骨髄移植後の長期生存と晩期死亡
Long-Term Survival and Late Deaths after Allogeneic Bone Marrow Transplantation

G. SOCIÉ AND OTHERS

背景

骨髄移植を受けた患者の死亡率が,一般集団の死亡率のレベルに戻るのかどうかということは,はっきりとは確認されていない.

方 法

そこで,われわれは,国際骨髄移植登録(the International Bone Marrow Transplant Registry)にリストされていた 6,691 例の患者について,その特徴を解析した.これらのすべての患者で,同種骨髄移植後 2 年間にわたって,それぞれの原疾患の再発が認められていなかった.このコホートの死亡率を,年齢,性別,および国籍をマッチさせた一般集団の死亡率と比較した.Cox の比例ハザード回帰を用いて,骨髄移植後 2 年以降の死亡(晩期死亡)の危険因子を同定した.

結 果

移植後 2 年間にわたって再発が認められなかった患者が,その後さらに 5 年間生存する確率は 89%(95%信頼区間,88~90%)であった.再生不良性貧血で移植を受けた患者では,移植後 6 年目までに死亡するリスクは,正常集団と有意な差が認められなかった.急性リンパ芽球性白血病あるいは慢性骨髄性白血病で移植を受けた患者では,死亡率は,本研究の全期間を通して正常集団よりも有意に高いままであった.また,急性骨髄性白血病のために移植を受けた患者の死亡率も,移植後 9 年目までは正常集団よりも有意に高かった.死因の第一位は,白血病で移植を受けた患者では白血病の再発であったが,再生不良性貧血で移植を受けた患者では慢性の移植片対宿主病であった.移植前の原疾患が,進行性の長期に顕在化していた疾患であるということと,移植片対宿主病が慢性の活動型のものであるということが晩期死亡の重要な危険因子であった.

結 論

急性骨髄性白血病,急性リンパ芽球性白血病,慢性骨髄性白血病,あるいは再生不良性貧血の治療として同種骨髄移植を受け,移植後 2 年間にわたって原疾患の再発が認められない患者は,おそらく,その疾患は治癒しているものと考えられる.しかしながら,これらの患者の死亡率は,移植後,多年にわたって,正常集団よりも高い.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 14 - 21. )