November 18, 1999 Vol. 341 No. 21
ホモシスチン尿症に対する新生児スクリーニングにおける偽陰性結果の減少
Reduction of False Negative Results in Screening of Newborns for Homocystinuria
M.J. PETERSCHMITT, J.R. SIMMONS, AND H.L. LEVY
シスタチオニンβ合成酵素欠損症の結果として発症するホモシスチン尿症の患者における精神遅滞とその他の医学的問題(水晶体転位症,骨粗鬆症および血栓塞栓症など)は,血中メチオニンの測定による新生児スクリーニングと,続いて行われる患者の早期治療によって予防することが可能である.しかしながら,本疾患の乳幼児の多くは,このようなスクリーニングでは同定されず,不可逆性の脳損傷を受けている.
米国ニューイングランドにおいて 32 年間にわたって行われてきたホモシスチン尿症の新生児スクリーニングの検査結果について,再検討を行った.血中メチオニンの測定値が,カットオフ値以上であった場合には,再分析のための検体採取を依頼した.シスタチオニンβ合成酵素欠損症が原因のホモシスチン尿症の確定は,定量アミノ酸分析にて行った.
再検討期間の最初の 23.5 年間は,血中メチオニンのカットオフ値が 2 mg/dL(134 mmol/L)であった.この期間中にスクリーニングを受けた 220 万人の乳幼児では,8 例のホモシスチン尿症が同定された(1:275,000).1990 年に,このカットオフ値は 1 mg/dL(67 mmol/L)に下げられた.これ以降の 8.5 年間にスクリーニングを受けた 110 万人の乳幼児では,7 例が本疾患であると同定された(1:157,000).この後半期のスクリーニング期間に本疾患であると同定された 7 例の乳幼児のうちの 6 例は,生後 2 日目までに検体が採取されていた;これら 6 例のうちの 5 例は,血中メチオニン濃度が 2 mg/dL 未満であった.低値に設定し直されたカットオフ値を用いると,偽陽性率は 0.006%から 0.03%に上昇した.
ホモシスチン尿症の新生児スクリーニング検査において,血中メチオニンのカットオフ値を 1 mg/dL にすると,メチオニン濃度がごくわずかしか上昇していないような患者をも同定できるようになり,偽陰性の検査結果の頻度を減少させることができるはずである.