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July 29, 1999 Vol. 341 No. 5

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来院患者を診るうえでの医師の業務の強度
The Intensity of Physicians' Work in Patient Visits — Implications for the Coding of Patient Evaluation and Management Services

R.D. LASKER AND M.S. MARQUIS

背景

臨床医は,患者の評価と治療管理に関するサービスへの報酬を請求するために,来院コードを利用している.これらのサービスのコード化と記録作成に関する現行のガイドラインは,改訂ガイドライン(案)と同様に,複雑で,臨床的に無意味で,そして費用がかかると非難されてきた.そこでわれわれは,簡単に測定できる医師-患者来院の特性によって,実際の仕事量の相違を正確に反映させることができるか否かを調査した.このような特性は,簡便で公平な医師-支払い体系の基本となるような根拠を与えてくれるかもしれない.

方 法

泌尿器およびリウマチの専門医と一般内科医の合計 339 例の医師を対象として,その日常診療における 19,143 件の医師-患者来院についての,医師の業務量,患者との面会時間,および患者と来院の特性に関する情報を収集した.各医師には,それぞれの来院について患者の評価と医療の管理を実際に行った時刻を記録してもらうとともに,その業務量を,標準化された仮想的な来院における業務量と比較して推定してもらった.多変量線形回帰を用いて,総業務量の差に関連する要因を同定し,さまざまな種類の来院における業務量と業務の強度(1 分間当りの業務量)を算出した.

結 果

患者またはその家族との面会時間(相対時間)は,総業務量を強力に予測するものであった.しかしながら,この総業務量には,面会時間に正比例した増加は認められなかった.すなわち,業務の強度は,面会時間が長いよりも短い来院で大きかった.それは,一つには,各種記録の検討や情報の記入のような固定サービスの提供に関わる仕事量が,面会時間の長さに正比例して増減しなかったためであった.業務の強度は,再来患者よりも新患患者で,他の医師からの紹介ではない患者よりも紹介患者で,そして以前から診ている病気の患者よりも新たに発症した病気の患者で大きかった.

結 論

実際の診療における総業務量は,医師が患者と面会するときに費やす時間を基にした簡便なコード化の体系と,来院特性のうちのいくつかの限られた特性のセットが正確に反映しているようである.これらの要因および 1 分間当りの業務量と面会時間の負の相関を基礎とする診療報酬の体系によって,公平な医療費の支払いが実現すると同時に,診療効率の向上とサービスの「過剰なコード付け」の抑制が実現すると期待される.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 1999; 341 : 337 - 41. )