September 23, 1999 Vol. 341 No. 13
末期患者の介護における家族,友人,有償介護者,ボランティアの支援
Assistance from Family Members, Friends, Paid Care Givers, and Volunteers in the Care of Terminally Ill Patients
E.J. EMANUEL AND OTHERS
臨死患者には,医療に加えて,移動の助け,看護,家事サービス,および身の回りの世話などの多様な支援が必要なことが多い.そこで,われわれは,無作為に抽出した米国の 6 地域(大都市の 5 地域と田舎の 1 地域)の成人の末期患者と介護者に面接を行い,これらの人々が必要としている支援がどのように充足されているのかということと,家族と有償およびボランティアの介護者から受けている支援の頻度を調査した.
本研究の患者には,担当医が 6 ヵ月未満の余命と予測した患者で,ヒト免疫不全ウイルス感染症や後天性免疫不全症候群以外の臨床的に重大な疾病の患者が,それぞれの担当医から紹介されてきた.1,131 例の適格患者のうちの 988 例(87.4%),および 915 例の適格主介護者 893 例(97.6%)が,英語で行われる詳細な対面面接に同意した.
988 例の末期患者のうち,59.4%が 65 歳を超える高齢者で,51.5%が女性であった.これらの末期患者の疾患は癌(患者の 51.8%)がもっとも多く,次いで心疾患(18.0%),慢性閉塞性肺疾患(10.9%)が多かった.患者の 4%が,ナーシングホーム,居住型ホスピス,病院などの施設に入所していた;残りの患者は自宅で暮らしていた.患者の 86.8%が支援の必要性を報告し,必要とされたのは,移動の助け(62.0%),家事サービス(55.2%),看護(28.7%),身の回りの世話(26.0%)であった.介護者は 72.1%が女性であった.主介護者としては,96.0%が家族であった;非家族は 4.0%にすぎなかった.大部分の患者は,これらの支援を家族および友人に全面的に頼っていた.逆に,必要な各種介護の半数以上を有償の支援にだけ頼っていたのは,患者全体の 15.5%であった.ボランティア(すなわち,家族・友人以外の無償のヘルパー)による介護の提供は,全介護の 3%未満にとどまっていた.
末期患者の今回の調査では,家族,それも普通は女性の家族が,医療以外の支援のほとんどを提供していた.有償の介護者の支援は多くの人々が受けていたものの,ボランティアの支援を受けていた人々はごくわずかであった.