「それは置いていません」― 非白人系住民が優勢を占める地区の薬局におけるオピオイド系鎮痛薬の在庫不足
“We Don't Carry That” — Failure of Pharmacies in Predominantly Nonwhite Neighborhoods to Stock Opioid Analgesics
R.S. MORRISON, S. WALLENSTEIN, D.K. NATALE, R.S. SENZEL, AND L.-L. HUANG
ある大きな都市の教育病院で緩和療法を受けている黒人およびヒスパニック系の患者の多くは,処方されたオピオイドを,居住地の近くの薬局で購入することができないということが観察されている.そこで,本研究では,一般的に処方されているオピオイドについて,ニューヨーク市の薬局での入手可能性について調査した.
オピオイドの在庫に関する情報を入手するために,無作為に選び出したニューヨーク市の薬局の 30%に当るサンプルについて調査した.1997 年度の米国国勢調査推計(U.S. Census estimates)を使用して,それぞれの薬局ごとに,薬局が所在する地区(該当薬局の半径 0.4 km [0.25 マイル] 以内の地域と定義した)の人種および民族の構成割合と,65 歳を超える住民の割合を調べた.それぞれの薬局が所在している警察管区における違法薬物と関連のあった強盗,不法侵入,および逮捕についての 1997 年度のデータを入手した.その所在地区の人種および民族の構成割合と薬局のオピオイドの在庫との関連を調べるために,一般化線形モデル(GLM)を用い,国勢調査の調査ブロックレベルでの高齢者の割合と警察管区レベルでの犯罪率での補正を行った.
本調査では,適格であった 431 店舗の薬局のうち,347 店舗(81%)の薬剤師の代表者から回答が得られた.合計で 176 店舗(51%)の薬局では,重症疼痛患者の治療に必要なオピオイドの十分な量の在庫がなかった.重症疼痛患者の治療に十分なオピオイドの在庫量があったのは,非白人系住民が優勢を占める地区(住民の 40%未満が白人の地域)の薬局では 25%にすぎなかったのに対して,白人系住民が優勢を占める地区(住民の少なくとも 80%が白人の地域)の薬局では 72%であった(p<0.001).
ニューヨーク市の,非白人系住民が優勢を占める地区に所在している薬局には,重症疼痛患者を適切に治療できるだけの十分な量の薬剤が在庫されていない.