April 13, 2000 Vol. 342 No. 15
原因不明の心筋症患者の背景にある原因と長期生存
Underlying Causes and Long-Term Survival in Patients with Initially Unexplained Cardiomyopathy
G.M. FELKER AND OTHERS
心筋症による心不全患者の予後に関する先行研究では,患者の分類は,虚血性疾患か,非虚血性疾患かによって行われている.心筋症の背景にある,より具体的な原因を特定することの予後予測能は明らかにされていない.
1,230 例の心筋症患者を対象として,転帰の評価を行った.これらの患者を,背景にある原因に従って以下のように分類した:特発性心筋症(616 例),周産期心筋症(51 例),心筋炎による心筋症(111 例),虚血性心疾患による心筋症(91 例),浸潤性心筋疾患による心筋症(59 例),高血圧による心筋症(49 例),ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染による心筋症(45 例),結合組織疾患による心筋症(39 例),物質乱用による心筋症(37 例),ドキソルビシン治療による心筋症(15 例),その他の原因による心筋症(117 例).Cox の比例ハザード分析を用いて,心筋症の背景にある原因と生存との関連を評価した.
平均で 4.4 年間の追跡期間中に,417 例が死亡し,57 例が心臓移植を受けた.特発性心筋症患者と比較すると,周産期心筋症患者の生存は良好であったが(死亡の補正ハザード比,0.31;95%信頼区間,0.09~0.98),生存が有意に不良であったのは,浸潤性心筋疾患による心筋症患者(補正ハザード比,4.40;95%信頼区間,3.04~6.39),HIV 感染による心筋症患者(補正ハザード比,5.86;95%信頼区間,3.92~8.77),ドキソルビシン治療による心筋症患者(補正ハザード比,3.46;95%信頼区間,1.67~7.18),虚血性心疾患による心筋症患者(補正ハザード比,1.52;95%信頼区間,1.07~2.17)であった.
原因不明の心筋症患者では,心不全の背景にある原因に,予後予測能がある.周産期心筋症患者は,他の病型の心筋症患者よりも予後が良好である.浸潤性心筋疾患,HIV 感染,ドキソルビシン治療による心筋症患者は,予後がとくに不良である.