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April 13, 2000 Vol. 342 No. 15

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抗レトロウイルス療法に反応した HIV 感染患者における Mycobacterium avium complex 症予防療法の中止
Discontinuation of Prophylaxis against Mycobacterium avium Complex Disease in HIV-Infected Patients Who Have a Response to ART

W.M. EL-SADR AND OTHERS

背景

進行したヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の患者における Mycobacterium avium complex 症(MAC 症)の予防には,いくつかの有効な薬剤がある.しかしながら,抗ウイルス療法によって CD4 陽性細胞数が十分増加した患者においても,このような予防療法を継続すべきかどうかということについては明らかでない.

方 法

抗レトロウイルス療法に反応して,CD4 陽性細胞数が 50/mm3 未満から 100/mm3 超に増加した HIV 感染患者を対象として,アジスロマイシン(1,200 mg 週 1 回)による治療をプラセボと比較する多施設共同の二重盲検無作為試験を実施した.主要エンドポイントは,MAC 症または細菌性肺炎の発症とした.

結 果

計 520 例が試験に組み入れられた;組入れ時の CD4 陽性細胞数の中央値は 230/mm3 であった.また,患者の 48%は,HIV RNA 量が検出限界未満であった.過去に測定された CD4 陽性細胞数の最低値の中央値は 23/mm3 であり,患者の 65%は後天性免疫不全症候群(AIDS)と定義されている病態に進行していた.中央値で 12 ヵ月間にわたる追跡調査期間中に,MAC 症と確定されたエピソードは,いずれの群にも発生しなかった(各群の発症率の 95%信頼区間,100 人年あたり 0~1.5 件).細菌性肺炎は,アジスロマイシン群の 3 例(1.2%)とプラセボ群の 5 例(1.9%)が発症した(アジスロマイシン群の相対リスク,0.60;95%信頼区間,0.14~2.50;p = 0.48).また,HIV 感染症の進行率と死亡率についても 2 群間に有意な差は認められなかった.有害作用によって試験薬の中止にいたった患者は,アジスロマイシンの投与に割り付けられた 19 例(7.4%)と,プラセボの投与に割り付けられた 3 例(1.1%)であった(相対リスク,6.6;p = 0.002).

結 論

抗レトロウイルス療法に反応して CD4 陽性細胞数が 100/mm3 超に増加した HIV 感染患者においては,アジスロマイシンによる予防療法を,安全に中止することが可能である.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1085 - 92. )