睡眠呼吸障害と高血圧との関連に関する前向き研究
Prospective Study of the Association between Sleep-Disordered Breathing and Hypertension
P.E. PEPPARD, T. YOUNG, M. PALTA, AND J. SKATRUD
睡眠呼吸障害は一般集団に広くみられ,横断的疫学研究において,長期にわたる血圧上昇と関連があることが認められている.今回,われわれは,客観的に測定された睡眠呼吸障害と高血圧(検査室で測定した血圧が 140/90 mmHg 以上,または降圧薬の使用と定義)との関連についての検討を目的として,一般集団ベースの前向き研究を実施した.
ウィスコンシン睡眠コホート研究(Wisconsin Sleep Cohort Study)の参加者のうちの 709 例を対象として,ベースライン時および 4 年間の追跡調査後の,睡眠呼吸障害,血圧,体質,健康歴に関するデータを分析した(さらに,参加者の 184 例については,8 年間の追跡調査後のデータも分析した).無呼吸・低呼吸指数(AHI:睡眠 1 時間当りの無呼吸と呼吸低下のエピソード数)によって定義した睡眠呼吸障害の評価は,これらの参加者を,18 チャネルの睡眠ポリグラフ計で一晩中測定することによって行った.追跡調査 4 年の時点で,高血圧が存在するオッズ比を,ベースライン時の AHI 別に,ベースライン時の高血圧の状態,体格指数(BMI),頸囲と胴囲,年齢,性別,1 週間の飲酒回数と喫煙量で補正して推定した.
ベースライン時の AHI,すなわち睡眠 1 時間当りのイベント数 0 を基準カテゴリーとし,これとの比較で追跡調査時に高血圧が存在するオッズ比は,AHI が 1 時間当り 0.1~4.9 イベントでは 1.42(95%信頼区間,1.13~1.78),AHI が 1 時間当り 5.0~14.9 イベントでは 2.03(95%信頼区間,1.29~3.17),AHI が 1 時間当り 15.0 イベント以上では 2.89(95%信頼区間,1.46~5.64)であった.
ベースライン時の睡眠呼吸障害と 4 年後の高血圧の存在とのあいだには,既知の交絡因子とは独立した,用量-反応関係があることが確認された.この研究結果は,睡眠呼吸障害が,一般集団における高血圧と,これに続発する心血管疾患の危険因子であるらしいことを示唆している.