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January 20, 2000 Vol. 342 No. 3

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手術創感染の発生を減少させるための周術期の酸素補充
Supplemental Perioperative Oxygen to Reduce the Incidence of Surgical-Wound Infection

R. GREIF, O. AKCA, E.-P. HORN, A. KURZ, AND D.I. SESSLER

背景

酸化による破壊,すなわち酸化作用による殺菌は,手術に関連した病原体に対するもっとも重要な防御であるが,この防御は汚染組織の酸素分圧に依存している.十分に灌流された組織の酸素分圧を改善させる簡便な方法の一つは,吸入気酸素濃度をあげることである.そこで,われわれは,周術期における酸素の補充が創感染の発生を減少させるという仮説の検証を行った.

方 法

直腸結腸切除術を受ける 500 例の患者を,手術中と術後 2 時間にわたる 30%または 80%の吸入気酸素の投与に無作為に割り付けた.麻酔治療は標準化するとともに,抗生剤の予防投与をすべての患者に行った.手術創の評価は,二重盲検のプロトコールを用いて,患者が退院するまでは毎日,その後は術後 2 週間目の来院時に行った.膿培養で陽性であった場合に手術創に感染が起っていると考えた.抜糸の時期と退院日については担当の外科医が決定したが,患者の治療群の割り付けについては,この外科医には知らせていなかった.

結 果

動脈血酸素飽和度は両群とも正常であった; しかしながら,動脈血および皮下の酸素分圧は,30%酸素の投与を受けた患者よりも 80%酸素の投与を受けた患者で有意に高かった.手術創感染は,80%酸素の投与を受けた 250 例の患者では 13 例(5.2%; 95%信頼区間,2.4~8.0%)に発生したのに対して,30%酸素の投与を受けた 250 例の患者では 28 例に発生した(11.2%; 95%信頼区間,7.3~15.1%; p = 0.01).この 2 群間の絶対差は 6.0%であった(95%信頼区間,1.2~10.8%).入院期間については 2 群で同程度であった.

結 論

周術期における酸素補充は,手術創感染の発生を抑える実践的手法の一つである.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 161 - 7. )