The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

June 8, 2000 Vol. 342 No. 23

中国薬用植物(Aristolochia fangchi)の服用に関連した尿路の癌
Urothelial Carcinoma Associated with the Use of a Chinese Herb(Aristolochia fangchi)

J.L. NORTIER AND OTHERS

背景

 中国薬用植物腎症は,中国薬用植物を含有した痩せ薬を服用している一部の患者に発症する進行性腎線維症の一つの病型である.製造段階の過失から,これらの痩せ薬の丸剤に含まれている 1 種類の薬用植物(ハスノハカズラ: Stephania tetrandra)が,不注意にも,腎毒性および発癌性のあるウマノスズクサ属の一種である Aristolochia fangchi と入れ替ってしまった.

方 法

 中国薬用植物腎症であった 1 人の腎臓移植レシピエントに,患者自身の尿路に腫瘍性病変があると診断されたため,われわれは,移植または透析のいずれかの治療を受けていた末期の中国薬用植物腎症のすべての患者に,定期的な膀胱鏡検査と患者自身の腎臓および尿管の予防的摘除を勧めた.手術で摘出した病理標本は組織学検査を行うとともに,アリストロキン酸によって形成される DNA 付加物の有無について分析した.この曝露期間(1990 ~ 92 年)に,これらの患者に対して処方された痩身化合物のすべての処方箋を入手して,その累積投与量を計算した.

結 果

 予防手術を受けることに同意した患者は 39 例であったが,そのうちの 18 例に尿路の癌が認められた(有病率,46%; 95%信頼区間,29 ~ 62%): その内訳は 17 例が尿管癌,腎盂癌,または尿管と腎盂の両方の癌で,1 例が乳頭状膀胱腫瘍であった.残りの患者のうちの 19 例には尿路細胞に軽度から中等度の異形成が認められ,2 例の患者の尿路細胞は正常であった.分析した組織標本のすべてにおいて,アリストロキン酸に関連した DNA 付加物の存在が確認された.ウマノスズクサの累積投与量は尿路細胞の癌の有意な危険因子であり,その総投与量が 200 g を超えると尿路細胞の癌のリスクの上昇と関連していた.

結 論

 末期の中国薬用植物腎症(ウマノスズクサ属が原因で発症する腎症)の患者では,尿路細胞の癌の有病率が高くなっている.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 1686 - 92. )