The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

February 10, 2000 Vol. 342 No. 6

Clostridium difficile の無症候性保菌とトキシン A に対する IgG 抗体の血清濃度
Asymptomatic Carriage of Clostridium difficile and Serum Levels of IgG Antibody against Toxin A

L. KYNE, M. WARNY, A. QAMAR, AND C.P. KELLY

背景

 Clostridium difficile(クロストリジウム・ディフィシレ)の感染は,無症候性の保菌に終わることもあるが,軽症の下痢,あるいは劇症の偽膜性腸炎に至ることもある.今回,われわれは,C. difficile トキシンに対する抗体反応が,コロニー形成,下痢,および無症候性保菌のリスクに影響しているのかどうかについて検討した.

方 法

 C. difficile 感染について,抗生剤の投与を受けていた入院患者を対象に前向きに検討した.C. difficile のコロニー形成を,経時的に採取した便検体の細胞障害アッセイおよび培養によって調べた.C. difficile のトキシン A,トキシン B,および非毒素抗原に対する血清中の抗体(IgA,IgG,および IgM)と糞便中の抗体(IgA および IgG)の濃度を,酵素免疫測定法(ELISA)にて測定した.

結 果

 271 例の患者のうち,37 例(14%)は入院時に C. difficile のコロニー形成が認められていたが,そのうちの 18 例は無症候性の保菌者であった.また,別の 47例(17%)の患者は院内感染であったが,そのうちの 19 例も無症候性のままであった.試験開始時の抗体濃度は,後にコロニー形成が認められた患者と,認められなかった患者で同程度であった.コロニー形成後には,無症候性の保菌者となっていた患者は,トキシン A に対する IgG 抗体の血清濃度の上昇が,C. difficile による下痢が発現した患者よりも有意に大きかった(p < 0.001).トキシン A に対する IgG 抗体の血清濃度が 3.00 ELISA 単位を超えていたコロニー形成陽性患者に対する,3.00 ELISA 単位以下のコロニー形成陽性患者の下痢の補正オッズ比は,48.0(95%信頼区間,3.4 ~ 678)であった.

結 論

 C. difficile のコロニー形成に対する免疫防御の根拠となるような結果は得られなかった.しかし,コロニー形成後には,トキシン A に対する IgG 抗体の血清濃度の上昇によって証明されるようなトキシン A に対する全身性の既往性応答と,C. difficile の無症候性保菌とのあいだに関連が認められる.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2000; 342 : 390 - 7. )